suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

刑事コロンボ#61 「死者のギャンブル」

原題:A Bird in the Hand...(直訳:手の中にある1羽の鳥は…)

日本語版:1997年 NTV

 

★今回の原題について
なぜ「A Bird in the Hand...」と最後に点々が付いているかと思って調べてみると、元々は「A bird in the hand is worth two in the bush.」ということわざで、直訳すると「手の中にある1羽の鳥は茂みの中の2羽の価値がある。」となるが、日本語訳としては『明日の百より今日の五十』という意味合いになるようだ。今回のエピソード中の何のことを比喩したものかは解釈が難しいが、何となく言わんとすることは分かる。ただ、日本のことわざを充てるとしたら、結果的には『二兎を追う者は一兎をも得ず』のほうに近い気がした。

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さらに言えば、今回のタイトルはエンディング・クレジットになってやっと表示されたのも特徴。逮捕されて「それ見た事か」みたいな戒めセリフの代わりとしたのか、単にネタバレになるからなのかはネイティブなマニアに聞かないと判断不能だが、いずれにしても奇妙な仕立ての脚本と合わせて、前回同様に違和感のあるエピソードである。

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
犯人が乗っている車は、いかにもアメ車な外観の「Buick Skylark convertible」(1972年式?)。一方、今回のストーリーの”キモ”となるロールスロイスはエピソード中、1度も公道を走ってはおらず、単なる置物と化している。爆発物を仕込んだ大道具なのかも知れない。何しろ、本物は高価な超高級車なので爆発させて壊すにはもったいない(というか予算が…)。

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実は、上記の写真の2つのシーンのロールスロイスを良く見ると、同じ車体(ナンバープレートが同一)なのに、フロントグリルの形状が微妙に異なる。 本物は上記写真の左のほうだと思われるので、やはり右の爆破時の車体はモックアップだろう。 

ロールスロイスはもう1種類登場する。コロンボショールームに出向いて、実車のエンジンルームや下回りをチェックするシーン。こちらは建物ごと本物だろう。

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また、以前のエピソードでも似たようなトラックが登場した”庭師の作業車”は、実は米国では盗難のターゲットになるぐらいの人気だったようだ。日本ではちょっと考えにくいが、これが文化の違いなのであろう。

 

☆やっぱり小道具に目立ったものはない
新シリーズになってからは、ストーリー展開に重点を置いているのか、小道具が活躍するシーンが減っているように感じる。まあ撮影時期が、日本で言うところの平成時代に突入したので、昭和なテイストが無くなったというのも(個人的には)あるとは思う。
そんな中で、何気にSEIKOと刻印されたゴールドの腕時計が映ったり、パイプ爆弾が登場したりと、見逃せないアイテムが出てくるのではあるが。

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☆ちょっと手抜きなテレビの流用
以前のエピソードで、放送局用のモニターとして登場したSONYのテレビが、今回にも使用されていた。しかも、異なるシーンで2回登場、1回目が警察署内で2回目が被害者宅。まあ、前者のシーンではあまり違和感はないが、後者の場合は違和感がありすぎ。一般家庭向けの製品ではないし、デザイン自体が周りの雰囲気や家具とはマッチしないのだ。籐製と思われるTV台に置くには、あまりにも無骨である。

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被害者がジョギング中に頭に装着していたヘッドホン様のものは、(上記写真には写っていないが)アンテナが付いていたので、おそらくラジオが内蔵されたものだろう。時代を感じるアイテムではある。(製品名などは不明)

ちなみに、この当時にはすでにウォークマンと組み合わせたイヤホンタイプの製品も登場していた。1987年に流れていたCMが懐かし過ぎる記憶。

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以上。

 

刑事コロンボ#60 「初夜に消えた花嫁」

原題:No Time to Die(直訳:死ぬ時間はない)

日本語版:1997年 NTV

 

★今回の原題について

奇しくも007シリーズの最新作(現時点では2021年秋に公開予定)と同じタイトル『ノー・タイム・トゥ・ダイ』。もちろん偶然の一致というか”No Time to Die”は一種の慣用句のようなものかも知れないが、調べても見つからず状態。

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【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
今回のエピソードは全体的にコロンボシリーズらしくない。倒叙式ミステリーではなく普通に犯人を捜して追い詰めるだけのストーリー(『87分署』を原作としたらしい)。賛否があるとすれば、ほとんどの人が"否"であろう。そして、登場する車もコロンボの自車や警察車両ばかりで、犯人や被害者が実際に乗って移動するシーンは皆無。唯一、犯行時に使用された車を特定するために、自動車ディーラーを周って大量に集めた車のカタログが映し出されるシーンで、種々の車が登場するのみ。その中で目を惹いたのが「1992 PREVIA」というミニバン。どこかで見たなと思ったら、元々はトヨタのエスティマだった。

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しかし、救急車のカタログって、自動車ディーラーに置いてあるのだろうか?

 

☆小道具も目立ったものはない
冒頭の結婚披露パーティで、シャッター音が鬱陶しいほど、やたらと写真を撮る人物がいて、途中、こいつ怪しいのではないかと思ってしまった。結局は単なるプロカメラマンで彼の撮影した写真が犯人追及の手掛かりとなったわけだが、使われたのはNikonの1眼レフ。

少々疑問に思ったのは、当時は写真フィルムで36枚撮りが主流だったと記憶しているが、それ以上に連写している気がしたのだ。実際には数えていないし、途中でフィルム交換しているシーンが割愛されているだけかも知れないけど、何となく違和感を覚えた。今ならデジタル(※)なので全く問題ないのだが。

違和感と言えば、犯人のプロフを探るために、スナップ写真から指輪(カレッジリング)の部分を拡大するというシーンがあるが、かなり無理があるし指の形が違うなど異なる写真に見える。まあ、刑事ドラマではよくある話ではあるが。

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※本格的なデジタル1眼レフカメラの登場は、1999年のニコン「D1」を待たねばならなかった。


☆相変わらずPCも出てくるが机上の置物
普通の刑事もののように、警察署内のシーンがそれなりに登場するが、そこにはPCが雑多に置かれている。ただしストーリーには全く絡まず、単なる置物と化していた。小型のモニターやモニター用のフィルターなど、使い込まれている感じは出ていたとは思うが。

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 犯人が被害者に宛てた”置手紙”の文章は英語の平文で辞書を引かずとも理解できるものだが、その中で”THE TAPE IS ONE OF MY FAVORITE"という部分が分かりづらかったが、何のことは無い、”TAPE”は音楽テープのことだった。 当時はお気に入りの音楽をカセットテープにダビングしてプレゼントすることが流行っていた(実際、自分もしたことがある)が、今ではどういう表現になるのだろうか。

 

以上。

 

刑事コロンボ#59 「大当たりの死」

原題:Death Hits the Jackpot(直訳:ジャックポットの死)

日本語版:1995年 NTV

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
今回登場する車も、ボロ車(被害者およびコロンボ)対高級車(犯人および被害者が購入しようとしていた車)という対比が目立った。犯人の車は「ロールス・ロイス・コーニッシュ Ⅲ」と思われるが、被害者の車などは現時点では不明である。

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☆ロトで3000万ドルとは羨ましい限り
細かい数字は別としても、当時の為替レートで計算すると、3,000万 x 135円 = 405,000万円=40億5千万円。そりゃ殺人を犯してまでも手に入れたくなると言うものだ。いや、手数料として1割でも約4億円なので、そのぐらいで手を打てば良かったのに、犯人。

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上記のカメラに関する連続する3コマは、単に途中の2コマ目だけストロボ用シューマウントに何もハマっていないというツッコミを入れたかっただけ。そして本題はそこではなく、絞りリングの数字が今回の”事件”のきっかけになったわけだが、何かそこに違和感を覚えたのである。(以降、写真下にネタバレ記述あり)

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「4-5-6-8-11ー16」がロトの当たり番号で、カメラのこの数字を見て被害者はロトを購入したわけだが、実際には「4-5.6-8-11-16」なのだ。レンズによって左→右の配置(上記写真の左下のレンズ)もあるので、その場合は不自然ではないが、今回は小道具さんが頑張ったのだろう。絞りの数字だけ妙にでかくてはっきりしているのはしょうがないか。


☆プロなのに見逃すのだろうか?
犯人は宝石店を営んでいるようで、高級時計も扱っている。なのに、被害者が身につけていた時計、しかも自分がプレゼントした腕時計の真贋を見分けられなかったのは、どうみても変だと思うが、やっぱり殺人の最中にはそういう”目”も死んでしまうのだろうか。それとも、元々見分ける能力が無かったのだろうか。その後のコロンボとのやりとりを見ていると、どうも後者のような気がするが。

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なお、余談だが(というかこのブログの記事自体がすべて余談なのだが)ビデオカメラはPanasonic製である。型式は不明。

 

☆なんか見たことのあるシャンパンだ
前回のエピソードに登場したシャンパンと同じブランドが今回も出てきた。小道具としてたくさん買ったので、もったいないから使いまわししたのだろうか?

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☆書類は大切
犯人が最初の方で見た書類は一瞬しか映らなかった。録画するとそのようなシーンでも静止画でじっくり見られるので、色々と楽しい。その書類の詳細は不明だが、金融リサーチ会社「THOMAS JAMES」からのレポートらしいので、自社グループの経営状況が悪いと評価され、それを穴埋めするために被害者の”金”を狙ったのだろう。

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あと、証拠の一つとなったチンパンジーの指紋は、人間と同じように個人(個猿?)を特定できるものなのだろうか。そして、このネタは「二枚のドガの絵」を彷彿とさせるのである。何となくではあるが。

 

☆勝手にイメージを膨らましていたりする
ハロウィーン・パーティーで大富豪ゴッコをする犯人だが、あの恰好、特にかつらを見るとどうしても映画『アマデウス』を思い出してしまう。この映画も結構好きで、何回も観ているし、LD→DVD→Blu-rayと買い直していたりもする。

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そして、犯人が殺人を実行するために被害者宅を訪れるシーンは、何となく『アマデウス』のシーンとカブるのである。

以上。

 

刑事コロンボ#58 「影なき殺人者」

原題:Columbo and the Murder of a Rock Star(直訳:コロンボとあるロックスターの殺人)

日本語版:1995年 NTV

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
犯人の車は、前回と同様にベンツで(型式は異なるが)、この車に乗っていたら犯人と思え(そもそも倒叙式なので無意味だが)。そして、ついに日本車が前面に登場する。今まででも画面の端に映っていたりはしたが、今回、犯人が運転しての堂々なる登場だ(1990 Toyota Celsior Type C)。最初、犯人のセカンドカーなのかと思ったが、実は会社の部下の車だった。あと、内縁の妻も高級車に乗っているし世界が違うな、と思ってしまう庶民がここにいる。対して、庭師の日本人(?)の使っているトラックや、相変わらずのコロンボの愛車は、身近に感じる。

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しかし、コロンボのセリフで「この屋根(幌)を外すのは初めて」というのがあったが、『ウソコケ』と心の中で突っ込むオヤジであった。あと、ワザとスピード違反になるように約63MPH(時速約100km)を出すのに必死なプジョーは、そろそろ……

 

☆ラジカセにこだわるコロンボ
被害者がロック歌手ということもあり、音楽関係のネタがちらほら。冒頭のシーンでステレオコンポが大写しされたり、ラジカセが目立ったりしていた。とある理由でコロンボが異様にラジカセに興味を示したり。この当時は、日本でもダブルデッキの派手なラジカセが人気だったはず。最近、ちょっとだけリバイバルしているようだが。

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☆今回はPCの登場は控えめだった
前回、これでもかというほどパソコンが登場したが、今回はそれ以前のおとなしめの扱いとなった。目立ったハードウェアとしては、シュレッダーと電子ピアノだ。犯人はそのシュレッダーで、書類と合わせてビデオテープも処分するようで『無理だろ』と思って見ていたら、なんとカセットを分解して中のテープだけをシュレッダーに入れていた。うむむ。

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なお、速度違反時に撮影されたフィルム画像を管理するためにパソコンに置かれているメディアは、5インチフロッピーであるのが興味深い。前回は、歴史的には5インチの次世代にあたる3.5インチだっただけに。

 

☆前回のタバコと同じポジションのシャンパ
前回のエピソードでは、タバコに毒薬を入れて殺人を実行したが、今回はシャンパンのボトルを利用した。なので、前回のタバコと同様に、画面に頻繁に登場した。

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ただし、毒薬ではなくどうやら睡眠薬(CHLORAL)だったようだが。いや睡眠薬と書いたが、実はそういう目的では使われない物質らしい。

クロラール (Chloral) は、有機化合物で、有機ハロゲン化物、アルデヒドの一種。IUPAC命名法ではトリクロロエタナール (trichloroethanal) と表される。トリクロロアセトアルデヒドとも呼ばれる。(中略)

クロラールには、抱水クロラールと同様に沈静、催眠、抗痙攣作用があるが、その目的で使用されることは無い。服用すると水分、胃酸などにより容易に分解するためである。またクロラール自体の刺激性も強いためである。

Wikipediaより)


☆新シリーズは画面作りに凝っている
気のせいかも知れないが、コロンボの新シリーズになってから、アップのシーンでアートを意識されるような綺麗な映像を見ることがある。前回はタバコなどが置いてあるドレッサーの上だったが、今回はシャンパンのボトルやキャビアを乗せたサイドテーブル。改めて静止画を見ても配置やライティングなどが計算されたように美しい。無作法な間男が飲み散らかしたようには見えない(実際。違うが)

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☆ジャンクフードとデスクトップ
久々かもなコロンボの食事シーン。相変わらずジャンクフードが好きなようで、今回はピーナツバターにレーズン。久々と言えば、コロンボが所属する警察署の内部も登場した。相変わらず、コロンボのデスクトップはすっきりしていない。

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あと、私立探偵の事務所のシーンがあるが、これぞ探偵事務所というステレオタイプ的な内装や小道具、そして探偵のしぐさ。分かりやすいというかわざとらしいというか。なんとなくレイモンド・チャンドラーが生み出した私立探偵「フィリップ・マーロウ」を思い出す。

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www.youtube.com

 

☆その他のネタ
殺人現場であるビーチハウスの庭を、日本人の庭師がメンテナンスしている設定だが、砂地の通路をわざわざ日本の庭園の如く”砂紋”で仕上げている。そこに犯人が足跡を付け、事後にもとに戻しているようで、実は適当に模様を付けているだけ。日本の警察なら、そこに違和感を見つけるはずだが、残念ながら今回はその点に焦点は当たらなかった。そんなものだろう、感覚の違いって。

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いわゆる日本で言うところの「オービス」が、犯人側のアリバイとして使われるが、その仕組みはアナログで、最終的にパソコンで処理されるとは言え、時代を感じる。装置に内蔵されているのは、なんと普通の一眼レフカメラCanon製)ということで、いかにも撮影用の小道具っぽい。

 

☆犯人役のダブニー・コールマン
基本的にはあまり役者の話題は扱わないが、今回のゲストスターのダブニー・コールマン(Dabney Wharton Coleman)は”複数の好きな作品に登場する役者”として印象深く記憶されている。(下記、各々動画へリンク)

9時から5時まで (1980)・・・ダメな上司役
ウォーゲーム(1983)・・・・・ダメなシステム責任者役
ユーガットメール (1998)・・・ダメな二代目社長役

 
以上。

 

刑事コロンボ#57 「犯罪警報」

原題:Caution: Murder Can Be Hazardous to Your Health(直訳:”注意:殺人はあなたの健康に害を及ぼす可能性があります”)

日本語版:1995年 NTV

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
犯人の車は、まんまベンツ(1988 Mercedes Benz 560SEC - YouTube)。日本のバブル期に登場しているいかにもな高級車のイメージ。フロントグリルのわざとらしく大きいスリーポインテッドスターが下品かも?(個人的感想)。また、コロンボの愛車プジョーの少し上からの角度で見えるシーンが珍しいかも。そして、この2台が何故かぶつかってしまう。最終的に証拠となる”あるもの”を見つけるための伏線になってはいるけど、かなり無理やりでワザとらしい。

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☆タバコ、タバコ、そしてタバコ・・・
自動車や酒は、撮影時でもリアルな商品を使っているが(当初、酒に関しては架空のラベルを作っていた)、タバコは諸事情があるのか、このエピソードでも定番の小道具「VICTORY KING」(以前とは商品名はちょっと違うが)という架空のタバコが登場する。しかも、くどいほど。まあ殺人の道具に使われているので当然だが、今では考えられない頻度である。

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そして、そのタバコのサイドに印刷されている定番の文句「Caution : Cigarette Smoking May Be Hazardous to Your Health」が、今回のエピソードのタイトルとしてもじって使われている。喫煙者じゃなくても、原題を見ると思わずニヤリとする。


☆今回も登場するTV局の放送用プロ機材
録画用テープレコーダー、放送用カメラ、そしてモニター。カメラは別として、レコーダーやモニターはSONY製のようだ。SONYは放送用の機材のデファクトスタンダードだった。今でもそうかも知れないけど、当時は日本製が多用されていたようだ。それは、今回の他のシーンでも確認できる。

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☆セキュリティ用カメラと録画装置
旧シリーズにも登場したセキュリティ用のカメラ。今回は進化しており、人間の動きをセンスして追尾するようだ。具体的にどういう仕組みかは別として(おそらく赤外線の応用か画像認識?)、かなりカッコいい。それで撮った映像を専用のデッキで録画する仕組みだが、デッキ自体は「TIMELAPSE」対応なので、本来なら一定の時間ごとに静止画を記録し、再生時には高速に見えるのが一般的な使い方のはずだが、今回は通常の速度で記録しているようだ。(オートチェンジャーがないVHSデッキの場合、TIMELAPSEを使わないと最大でも6時間ほどしか記録できないので、頻繁にテープ交換が必要。あるいは前回のエピソードみたいに巻き戻し・上書きされてしまう)

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あと、「BLANK TAPE」などというわざとらしい(説明調の)ラベルを貼ったテープを用意しているとは、現実的には思えない。どうでもいい細かい話だけど。


☆まだまだテープが全盛の時代だった
音声記録はカセットテープ、映像記録はビデオテープ。今ではもうほとんど見ることはないメディア。性能的には劣るが便利な面もあった。その最たるものが”必ず前回の続きから再生できる”というもの。いや、便利でもあるが不便でもあるわけだが。特に、レンタルビデオを借りた時は基本的には不便となる。アンラッキーの場合、巻き戻されてない状態になっているからだ。直前に借りた人が巻き戻さず、店舗のスタッフもそれを見逃した場合である。手持ちのデッキの性能にもよるが、最後まで再生された120分テープを巻き戻すのにはそれなりの時間がかかる。観たいと思って再生ボタンを押した瞬間に落胆する気持ちは、ある世代以上にしか分からない感情だろう。ビデオテープを高速に巻き戻すだけの機械も売られていたほど。機種によっては高速巻き戻し機能も備わっていたが)

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今の乗用車にはテープデッキは備わっていないだろうが、昭和な昔にはほぼ標準装備だった。しかも、フロントローディングというかサイドローディング?(そんな用語はないが)。あのスリットにテープを挿入する瞬間が気持ちいいのだ、実は。カセットを人差し指で押す、カシャッ、ルルル…、♬~

あと、ビデオ屋さんのシーンは意味深だった。米国の文化が関係しているのか、コートと紙袋の組み合わせに、何か”符丁”のようなものがあるのだろうか?さらに『HOLLY DOES HOUSTON』(和訳では”ホリー・ヒューストンを総なめ”)というタイトルも意味深で、何かを連想させるものなのかも知れない。

 

☆パソコンが大量に登場
これまでのエピソードでは、地味にPC一式が遠慮がちに登場していたが、今回はその呪縛が解けたのか、これでもかというほどに登場していた。確かに犯人の犯罪偽装にも使われ、コロンボ側の事件の解決の糸口になる形で絡んではいたわけだが。米国でもこの頃にPCが一般に普及したということなんだろう。さすがにここに日本製のPCが入り込む余地はなかったようだが。

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☆実はフロッピーディスクもアナログ
パソコンは、いわゆるデジタル機器ではあるが、基本的にはアナログ技術の応用である。特にメディアは長年の間、アナログであった。今回登場するフロッピーディスクも、単にカセットテープを円盤状にしただけで、かなり原始的な原理を応用したものだったりする(個人的見解)。さらに、あのドクター中松氏が発明した という話もあって面白い。

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地味なツッコミポイントとしてはキーボード操作がある。Deleteキーで一発消去とか、PrintScreenキーで即印刷とか、実際のアプリケーションでは考えにくい。当時のPC事情を鑑みても、これは演出上の割愛としか思えない。細かい話だけど。

ちなみに、今回のエピソードで使われていた3.5インチのフロッピーはFUJIFILM製。同じメーカーのフロッピーはまだ手元にあったりする。(さすがに2DDは無いしMaxellが1番多いし)

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以上。

 

刑事コロンボ#56 「殺人講義」

原題:Columbo Goes to College(直訳:コロンボ、大学へ行く)

日本語版:1994年 NTV

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
犯人の車は、米国の若者のあこがれであろうピックアップトラック(車種は未特定)。バックトゥザフューチャーでも主人公が入手時に満足しているシーンがある。対して、被害者の車は地味で、しかも駐車場に停まっているシーンしかない。あと、レアなのがコロンボの”カミさん”の車が初登場したことだ。いかにもな大衆車で使用感もハンパない。1960年代の「Ford Falcon 2Door Sports Coupe」と思われる。

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☆警備員が活躍する米国ドラマ
日本のドラマや映画ではあまり目立って活躍はしない警備員。米国では結構色々なところに登場する。今回のエピソードも然り。しかも、必ずと言っていいほどTVでスポーツ中継を見ている。今回はバスケットの試合のようだ。また、スナック菓子も常備している。日本では、まず考えられない”文化”である。

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警備員が登場する米国映画として印象的なのが「トゥルーマン・ショー」。エンディング・シーンで、他の”視聴者”と同じレベルで喜んでいたりする(途中のシーンでも時々出てくる)


☆今回登場するPCや電気製品など
相変わらずPCのセットがチラリと登場する。もう当たり前の風景になっている。小型のTVが登場するが、こちらはまだブラウン管でチャンネルもロータリー式だが、後ほど登場する小型のTVは液晶だったりするので過渡期と言えそうだ。ビデオデッキも最盛期のデザインで興味深い。残念ながらメーカーや機種は不明。

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☆小道具いろいろ
ヘッドフォン・ステレオ、いわゆる「ウォークマン」もこの当時の若者の必須アイテムだ。今回も薬の容器が登場したが、犯罪には直接絡まなかった。コレステロールの薬でコロンボ自身も飲んでいるようだ。また、コロンボは珍しく缶ビールを飲もうとするが(結局飲まなかった)、どう見てもバドワイザー(商品)である。

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☆かなり興味深いメカが登場した
カメラも小型化し車もリモコンで施錠/開錠できるようになったため、それらを利用して新たな”殺人メカ”を作り出してしまう犯人。冒頭のラジコンのシーンが、それ以降の展開を示唆しているようだ。

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☆殺人の再現シーンは”あのドラマ”を思い出す
このシーンで登場するテレビは、SONY製の小型の液晶タイプ。液晶TVはおそらくコロンボのシリーズで初登場である。そして、その画面と車のリモコンを組み合わせ、マネキンの頭部を破壊するという殺人の再現シーンは、日本のドラマ「ガリレオ」を思い出す。科学者である主人公の湯川准教授は、事件の謎解きを実証実験で行う。

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以上。

 

刑事コロンボ#55 「マリブビーチ殺人事件」

原題:Murder in Malibu(直訳:マリブでの殺人)

日本語版:1994年 NTV

 

【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
まず、冒頭で登場する彼女の車は「Chrysler LeBaron Convertible 3.0」。また、被害者の姉の車は高級車の代名詞BMW。そして、犯人の車は「Jaguar E-type Convertible」。また、コンバーチブル仕様が目立つのは前回と同様だ。

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車の話で言えば、今回のコロンボの登場シーン。疾走する愛車が大きな交差点をスピードを落とさずに左折(日本で言う右折)するシーンがあるが、対向車の”群れ”がわざとらし過ぎて笑えた。

 

今回登場するテレビとパソコン
殺人現場の被害者の家に置かれていたテレビはもちろんブラウン管タイプだが、かなり画面サイズが大きく、おそらく32インチ程度だろうか。今では32インチと言えば中型だが、当時は大画面の部類だった。そして、そのテレビの上に置かれているのは、ビデオではなくケーブルテレビのSTBセットトップボックス)のようだ。ストーリー中にもケーブルテレビの修理業者がそれなりに絡んでいるので、それを意識させる演出だろう。果たして有意な指紋は検出されたのだろうか。

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あと、前回と同様にパソコンがちゃんとした一式で画面に映るが、なぜか本体が横向きで使いづらそうだった。机の形状から正面を左に向けて置いたのだろう(当時のデスクトップパソコンは奥行きが長いものが多かった)。実際、こういう置き方をする場合もあるので、リアルと言えばリアル。


☆電話、留守電、そしてTV局のカメラ
何気に映った電話機は実在のもので、しかも前回にも同一機種が登場しているので、もしかしたらタイアップなのかも知れない。あと、単体の留守電装置も同じメーカー(というか米国最大手の電話会社AT&T)のものが採用されているが、その表示”6:25 AM”はかなりわざとらしい。もしかしたら、このエピソードのように実際の表示ではなく、美術担当者の労作なのかも知れない。

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あと、TV放送局のプロ用カメラが映っていて興味深い。現在ではもっと複雑怪奇になっており、当時のシンプルなデザインの方が好きだったりするけど。

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(https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1711/16/news083.html より)

☆飲兵衛はお酒が気になる
被害者の姉がお酒を飲むシーンがあるが、その時のホームバーとも言える場所には様々な酒瓶が置かれている。個別にチェックしようと思ったのだがかなり困難で諦めた。その過程で気付いたのが、ほとんどの瓶が未開封であると言うこと。ワインや日本酒なら開封後に速やかに飲む必要があるが、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒は開栓していてもあまり劣化しない。なので、色々飲みたい飲兵衛が未開栓のまま置いておくとは思えない。まあ、呑み方は人それぞれではあるが、これはきっと小道具用に揃えたのだろうと思うわけである。飲兵衛はそう思う次第。

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☆今回は珍しく声優が気になった
今回の犯人や関係者は、とにかくよくしゃべる。特に被害者の姉ジェス役の声を担当している声優の来宮良子さんはパワフルで素晴らしい。

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それと同時にどこかで聴いた声だと思ったら、コロンボと同様に好きな海外ドラマ「謎の円盤UFO」のミス・イーランドの声も吹き替えているようだ。例えば、謎の円盤UFOの日本語版第1話では、このあたり(下記34:15~)に登場するのが、ミス・イーランドである。

youtu.be

 
以上。