suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

刑事コロンボ#37「さらば提督」

原題:Last Salute to the Commodore(直訳:提督への最後の敬礼)

日本語版:1977年 NHK総合

 

【今回のタイトルについて】

 

ほとんど関係ない話だが、タイトル中に使われている”Commodore”という単語を見ると、過去にマイコン・オタクだった私は、どうしても黎明期のパソコンを思い出してしまう。

Commodoreは企業名で、日本ではコモドールという表記で知られ、初期のマイコンマニア、のちのパソコンマニアの注目の的だった。特に、PET2001が登場した時には、まさに未来がやってきた感じがしたものだ。

f:id:suna8com:20201210094327p:plain

コモドール社のPET2001

この初期の米国製パソコンは1977年に登場したということは、もう40年以上前のことになる。今でもこのデザインを超える未来チックなパソコンはないと思う。ただし、記憶装置はカセットテープのみで、短いプログラムを保存するだけでも数分を要した。キーボードも安物の電卓みたいで、使いづらいものだったが、それでもマニアは必死に使いこなしたものだった。ちなみに私は実物こそ見たことはあったが、実際に操作したことはなく、この後に発売されるNECPC-8001を購入し、パソコンの世界にどっぷりと浸かっていくことになった。(この話を始めると止まらなくなるのでいつか別の日記に……)

f:id:suna8com:20201210094922p:plain

NECPC-8001シリーズ


【今回の小ネタ】
 
☆今回登場する車
実は今回の主役の乗り物は、いつもの車ではなく船だったりする。でも、一応登場人物たちは車に乗って登場もするが、相変わらずのバブリーな車しか乗っていない。容疑者(犯人ではない)の車は「メルセデスベンツ 450SL」という定番。そして、従来では目立たなかった警察車両の「フォードLTD」は、圧倒的なフロントビュー。ただ、今回の車の主役は何と言ってもコロンボの愛車「プジョー403」。なんと、普段は幌を被せて走らせているのに、今回はオープン状態で登場し、しかも容疑者や同僚を乗せていたりする。更にこの時、コロンボは自分では運転せず、新人刑事がハンドルを握っているのだ。

f:id:suna8com:20201212095703j:plain

 

☆ということで冒頭から船の登場
船と言っても客船や漁船などの実用のものではなく、今回登場するのは金持ちの道楽系のプレジャーボート各種。高級外車やプライベートジェットと同様、ミリオネアの象徴だ。まあ、船酔いする自分には無用の長物だが。しかし、冒頭でいきなり「タイタニック」なるボートが登場するのには、ちょっとビックリ。

f:id:suna8com:20201212095746j:plain

この手のボートと言えば、映画『太陽がいっぱい』での印象が深い。特に最後のシーンを観ると、ある意味ボートが物語の主役とも思えるのだ。もちろん、主人公役はアラン・ドロンなのだが。(そういえばこの映画も“ミステリー”と言える)

www.youtube.com

 

☆今回の小物たち
小物にマイク・ラリー氏を入れてしまい申し訳ないが、今回は前回のエピソードと違って、ほんの一瞬映っただけ(事件現場の写真撮影担当?でいわゆる鑑識チーム)。小道具の中では、望遠鏡のレトロなデザインに目がいくが、地味に登場するTVが気になった。昭和チックなありきたりのデザインだが、実はブラウン管がキーポイント。これはまさしくSONYトリニトロンだ(確証はないが)。 

f:id:suna8com:20201212095801j:plain

トリニトロンはブラウン管の製品仕様の1つで、主に電子銃やアパチャーグリルにその特徴があるが、外観的にはブラウン管の表面が”円筒の一部を切り取った形状”になっている点だ。なので、今回のようにTVの前面を見ればすぐにトリニトロンということが分かる。ちなみに他の方式ではブラウン管表面は球の一部になっている。SONYに言わせると、この形状は(垂直方向が直線的なので)上面から(例えば天井の照明)の光の反射を防げる、ということである。実際、その昔かなり長い間、SONYのTV(PROFEEL)を愛用していたこともある。(あ、今もSONYBRAVIAだわ。もちろん液晶なんだけど)

f:id:suna8com:20201212114956p:plain

 

☆いつもと違うコロンボが全編にあふれていた
なんだか人懐こい(というかやりすぎっぽい)コロンボ。もしかしたら、葉巻の禁断症状でハイになっているのかも、と思うぐらいいつもの雰囲気とは別人だった。それは、最後のシーンでも同様で、いかにもよくあるミステリードラマのシーンで、容疑者を全員一か所に集めて、その前で謎解きをし犯人が誰かを言い当てるのだ。コロンボのシリーズとしては異質な終わり方であり、しかも犯人が観念したシーンの後も、余談的な流れがダラダラと続くというキレの悪さ。ノーマルなミステリードラマとしては分かりやすいが、倒叙じゃない点(ミスリード)も含め、これは“コロンボ”ではない

f:id:suna8com:20201212095815j:plain

 

 
以上。