刑事コロンボ#54 「華麗なる罠」
原題:Uneasy Lies the Crown(直訳:不安定な王冠)
日本語版:1994年 NTV
【原語タイトルからの連想】
Uneasy lies the head that wears a crown.
《王冠を戴くものは安心して眠れない》~シェークスピア~
Uneasy lies the head that wears a crown.[Shakespeare] 《王冠を戴くものは安心して眠れない》
人はだれでも、少しでも高いところへ昇りたがるものです。しかし上へ行けばいくほど、風当たりも強くなるし、いつなんどき落っこちるかもしれません。下には、虎視眈々と上を狙っているものがひしめいています。
(a) The highest branch is not the safest roost.《一番高い枝が一番安全な止まり木ではない》「高木風に折らる」
(b) What goes up must come down.《上がるものは必ず下がる》
(c) He who rides a tiger is afraid to dismount.《虎に乗るものは虎から降りることを恐れる》(c)の意味は、一度虎の背に乗ったものが降りるに降りられないのは、降りればとたんに周りの小動物に食われるというより、ほかならぬ虎そのものに食われるから、ということです。
反対に、最下位にいれば落ちる不安も、部下に復讐される心配もありません。
(d) He that is down need fear no fall.《倒れたものはもう倒れるのを恐れなくてよい》
( www.wa.commufa.jp/~anknak/kyoukun123.htm より引用)
☆今回登場する車
犯人の車は「ジャガーXJ-S V12」。一方、被害者の車は「フォード・マスタング・コンバーチブル 302」。ともにコンバーチブル仕様なのは、当時の流行りなのか。梅雨のある日本では使いづらい車だ。
☆今回のパソコン関連アイテム
これまではちらちらと登場していたPCが、今回はきれいな一式の状態で画面に大きく登場していた。いわゆる”The PC"とかつて呼ばれたIBM PCのシリーズのように見えるが、型番は定かではない。当時は互換機も多数出回っていたし。
あと、成分分析結果の印刷物が、ドットインパクト・プリンターの15インチ用紙なのが、時代を感じさせる。スプロケットホール(用紙の左右の端の穴)の部分、片側(基本的には右側)だけにミシン目がついていて、それをピリピリと切り離すの行為が、ちょっと気持ちが良かったりもした。
☆地味な存在の小道具が気になる
犯人のオフィスの棚に飾ってあるアイテム(『ウォーターシーソー』というらしい)が気になった。本来ならスイッチを入れて動かしているものなのだが、残念ながら止まっていた。当時のものは角ばった外観だが、改めてネットで調べてみると現在では丸みを帯びたり、中にフィギュアが入っていたりするようだ。個人的には昔のやつのほうが大人っぽくて好きなのだが……
あと、今回の薬の容器を詳細に見ようと、アップになったシーンをキャプチャしたら、容器と同時にボックスディッシュが映っていた。ずばりクリネックス(Kleenex)と表記されているので、撮影用小道具ではなさそう。
なお、薬の容器ラベルの記載は(判読できる範囲では)、”Dr.Cabbott...Digitalis...50 tablets...Corman...directed...twice daily.."となっている。今回、毒殺に使われた薬の日本名は「ジギタリス製剤」で、副作用の明細を見ても即死に繋がるようには思えないのだが。
☆その他の小道具いろいろ
▶犯人の自宅の電話機は、AT&T製のSystem2000
▶マルガリータのベースとなるテキーラも小道具ではなく実在商品
▶化学実験セット”CHEMISTRY EXPERIENCE LAB"も実在した商品らしい
マルガリータの作り方。
☆犯人のセーターが気になる
派手なセーターが目立ったので、もう少しバリエーションがあるのかと気にして見ていたが、結局2種類だけだった。パッチワーク状の模様が好きらしい。