suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

刑事コロンボ#30「ビデオテープの証言」

原題:PLAYBACK(直訳:再生)

日本語版:1976年 NHK総合

 

 【今回の小ネタ】
 
☆今回登場する車について 
毎回、それなりの車種が登場するが、今回は犯人が乗っている車のみ(コロンボや警察の車は除く)。薄黄色が目立つこの車は「メルセデスベンツ 450SL」。その車が冒頭のシーンにも登場するが、そこに”ROBERT BROWN"のクレジットが被さる。

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ROBERT BROWN "は犯人の義弟アーサー役を演じた俳優で、調べてみるとスタートレックの第1作(TOS)、いわゆる「宇宙大作戦」にも出ているようだ(写真右)。

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さらにROBERT BROWNと言えば、キリン・シーグラム(当時)のウイスキーを思い出す。昭和な時代のCMが目に焼き付いている。

www.youtube.com


☆かなり高級なビデオシステムだけど白黒
犯人は電気オタクで、家中をいろいろと改造している。主には手を叩くと自動的に開閉するドアだが、防犯用にカメラも設置している。専用のビデオルームもありプロ用の機材と思われるものが所狭しと並んでいるが、結局は録画できるのは白黒映像である。テープはオープンリールタイプで、そのケースのラベルには”MEMOREX CHROMA”と印刷されている。

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ラストシーンにも使われているビデオルームには、色々な機材が揃っていて目移りする。そのメインはテープデッキ(レコーダー)とモニターが2セット組み合わされているコンソール。ダビングに対応したものだろう。スイッチ類がかなり多いが何に使われるのか不明だ。

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あと、コンソールの右サイドにあるのがパッチパネルのようだ。何かしらの目的で使用されているらしいがよく分からない。モニター、レコーダー、カメラの接続をしているようだが、そんなに切り替える必要があるものだろうか。まあ、入り口の警備員室にもモニターがあるので、そことの接続を変更(通常はカメラだがこの時はレコーダーに切り替えたいわけだから)しているとは思うが。

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☆腕時計はデジタルなのにタイマーはアナログ式

犯人は指定の時刻にテープデッキが再生(PLAYBACK)されるようにアナログ式タイマーをセットしたようだが、本当にこれでうまくいくのか疑わしい。このタイマーは単なる電源のON/OFFを行うもので、デッキは電源がONになったからといって再生するとは限らない。ただ、昔の製品はスイッチ類が機械式なので、電源OFFの状態でもPLAYの状態を保持できるので、ひょっとしたらうまくいくかもだが、警備員室のモニターへの接続も同時に切り替えることが出来るのだろうか?上記のパッチパネルに秘密があるのかも知れない。

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また、犯人がしているデジタル表示の腕時計がかなり気になる。赤色の7セグメントLEDを使用したシンプルなもので、当時実際に売られていたものだろう。下記はズバリではないが、この手の腕時計としては先駆けでポピュラーな製品。

www.hamiltonwatch.com

 

☆アート作品とコロンボのボケ
今回の”おまけシーン”はアート作品の展示室での係員(小太りの女性だが結構好きかも)との会話。いろんな作品を見ながら会話を進めるが、最後にオチが用意されていて楽しい。こういう一見無駄なシーンもコロンボの人となりが伝わってきて、シリーズ全体のディテールを補完していると思う。

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『激烈』(写真左上) ・・・・・・・・700ドル
『死んだ犬の憂慮?』(写真左下)・・・1200ドル
『駐車場?』(写真右上)・・・・・・・4700ドル
『無題』(写真右下) ・・・・・・・・プライスレス


☆ちょっと無理がある最後のシーン

犯人のアリバイを崩す決定的な証拠として、テープに録画されている映像を拡大し確認する シーンがある。最大に拡大すると、デスク上に置いてある招待状の字まで見えるということだが、疑問点が2つある

一つはもちろん解像度の問題で、アナログの世界では拡大しても大きくはなるが細かさは変わらないわけで、ブラウン管を虫眼鏡で拡大するようなもの。現在のデジタル技術ならいざ知らず、当時の装置ではどう考えても無理。

もう一つはアングルの問題。カメラは1台で固定されているので、一定のアングルしか映っていないのに、なぜか拡大操作中にアングルが変わっている(下記の左上から右上)。良く見ると椅子の角度も変わっているので、明らかに別の位置から撮影したものである。

また、最後の拡大時にはカメラがズームしたような動きで画像がアップになった。まあ、当時のドラマの演出としては頑張ったほうだとは思うが。

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こういうシーンが登場する映画で1番印象に残っているのが『ブレードランナー』(1982年)である。近未来を描いた作品として、今でも通用する演出は素晴らしい。リメイクもされてはいるが、やはりオリジナルを超えるものはないと思う。
 
以上。