suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

かもめが翔んだ日

正確には「カモメが飛来してきた日」だが、地味に渡辺真知子の『かもめが翔んだ日』が好きで、そのタイトルをこの日記に採用させてもらった。(でも1番好きなのは『迷い道』だったりするが……)

youtu.be

実は、自宅の徒歩圏に”カモメ・スポット”がある。スポットというか、喫茶店のオーナーがカモメを餌付けしており、毎年、飛んできて冬の間”常駐”するのである(※)。だいたい11月から翌4月ごろまで、約5か月の間、喫茶店の付近で見られる。
※「カモメ」→「海」→「夏」という連想をしがちだが、実は日本では”冬鳥”なのだ。

今年は(私が知る限り)11月11日に先行グループの約20羽が飛来して、川面に浮かんでいたのを目撃した。ピーク時には50羽以上確認できるので、おそらく複数のグループに分かれていると思われる(確証はない)。

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▲2020/11/11 最初に飛来したカモメたちを撮ったが、遠くてよく分からない。でも、少し待っていたら飛び始めて、▼いかにもな写真が色々と撮れた。

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で、本日(2020/11/15)に見た時には喫茶店の屋根の上で休んでいた。▼こういうシーンも良く見かけるが、なかなか面白い。

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ja.wikipedia.org

夏季にユーラシア大陸北部やカナダ西部、アラスカ州などで繁殖し、冬季になるとアフリカ大陸北部やヨーロッパ、ペルシャ湾沿岸部、アメリカ合衆国西部、中華人民共和国東部などへ南下し越冬する。日本では主に亜種カモメが冬季に越冬のため飛来(冬鳥)する。

 

以上。

ベーシックインカム

最近、特にベーシックインカムの話題を良く耳にするようになったが、基本的な最低知識は持っているつもりでも、実際、どんな仕組みなのか、その詳細は意外に知らない人が多いような気がするし、自分もその一人なので、そのメリットとデメリットを正面から語ることは出来ないな、と感じていた。

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そんな時に、栗原裕一郎氏の中日新聞のコラムを読んで、この本なら興味深く読めそうだと思った。

www.bungei.shueisha.co.jp

一般的に「ベーシックインカム」なるタイトルが付いた本は実用書と言うかお堅い文章で、字が多く途中で眠たくなってやがて放棄してしまう内容だと思いがちだが、実はこの井上真偽(いのうえまぎ)の「ベーシックインカムは、SFミステリーというジャンルで、エンターテインメント性が高いものなのだ。

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SFもミステリーも好きなジャンルなので、これは読むしかないな、と思ってAmazonなどを探ってみたが、どうやらまだ単行本の形でしかリリースされておらず、基本的に文庫本しか買わない私はそこで足踏みしてしまった。でも、読みたいという欲求を消し去ることはできず、とりあえず図書館で借りることにしたのだ。

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短編集の体裁をとっていて、1篇ごとに異なるテーマが存在し、近未来の話をリアルに書いており、しかもそれがミステリー風本格ミステリーとは違う趣向)になっているという、私にとっては贅沢な作品となっていて、かなり気に入った。しかも、表題にもなっている最後の「ベーシックインカム」は、作者自身と思われる主人公がそれまでの短編4作を書いた後、5作目となるこの作品を書き始めている状況から始まるという、広い意味での作中作のようなスタイルで、導入部でニヤリとすること必至なのだ。(実際、ニヤリとしてしまった)

そのようなエンターテインメント作品を楽しむと同時に、ベーシックインカム(実はそれ以外にも各短編にそれぞれためになる内容が含まれている)の基本を押さえることが出来るので、一粒で二度おいしいと言える本で、SFやミステリーが好きな人には超オススメの本である。(文庫本が出たら買って再読するつもり)

 

以下、余談だが、以前から使用している「PageKeeper」という栞(しおり)もオススメ。

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クリップ状の本体を裏表紙に挟み、上から飛び出している針金様のパーツを読んでいる場所に差し込むだけ。あとは、次ページに読み進む時に、”針金”から留められているページを抜いてめくるだけ、というもの。常に読んでいる場所をこのパーツが示しているので、本をいつ閉じても大丈夫なのだ。自分で栞を挟み直す必要はないので、例えば電話が鳴ってもそのまま本を閉じて即座に対応できるし、寝ながら読んでいて知らずに眠ってしまっても、本は閉じられてしまうがこの栞で読書位置は記憶されているという、秋の夜長にも活用できる便利グッズだ。Amazonで探した際に、これが1番機能的だと思って購入したが、他にももっといい製品があるかも知れない。でも、他人にもオススメ出来るレベルでこの製品に満足している。

 

以上。

刑事コロンボ#33「ハッサン・サラーの反逆」

原題:A Case of Immunity(直訳:免責事例)

日本語版:1976年 NHK総合

 

今回のタイトルについて

原題は”A Case of Immunity”で、日本語版では「ハッサン・サラーの反逆」となっており、全く異なるタイトルとなっている。”A Case of Immunity”を複数の翻訳エンジンで和訳すると、いろんなパターンになる。

Google→免責の事例
DeepL→免疫力が低下している場合
Weblio、exite→免疫のケース
Mirai→免責の場合

どうやら”Immunity”という単語に複数の異なった意味があるようだ。実は、最近のウイルス騒動でこの単語をよく目にしたが、免責という意味もあることは知らなかった。

例えば、下記の記事を例にすると……

www.nytimes.com

タイトルの「New Type of Test May Better Discern Immunity to the Coronavirus」を機械翻訳すると「新しいタイプのテストは、コロナウイルスに対する免疫をよりよく識別する可能性がある」となった。文脈から自動的に”免疫”と訳したのかどうかは分からないが、少なくとも”免責”とは訳されていない。ちなみに、今回のタイトルは「外交官特権で罪が免れる」という意味だろうか。そして、それが皮肉になるという結末なのだが、やっぱり英語は難しい(日本語もだが)。

 

 【今回の小ネタ】
 
☆今回登場する車
犯人が乗る(と言っても後席だが)車は「キャデラック」(1973年式)(写真上)。通常のセダンとは後部座席周りが異なるので、リムジンとして改造されたものだと思われる(知らんけど)。共犯にされてしかも殺される人物(以前のエピソードにもあったな)の車はダッジ・ポラーラ」(1967年式)(写真中・下)のようだ。ダッジは歴代のモデルが多くて特定するのが大変だった。

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モデルは異なるが、同時代のダッジ・チャレンジャーは、地味に好きな映画『バニシング・ポイント』に主人公が乗る車として登場、存分に観ることができる。

www.nicovideo.jp

今回のエピソードにはパトカーと救急車、更にはコロンボプジョーが乱雑に駐車しているシーンがあって、ちょっと面白いと思った。

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☆時限爆弾と言えば 

エピソードの冒頭で金庫を爆破するための時限爆弾(?)が登場するが、かなりオモチャっぽい。まあ、本物を作るわけにもいかないしその必要もないが、もう少しリアルな方がいいのかと思った。そして、なんとなく「腹腹時計」を思い出した昭和なオヤジだ。

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☆今回の小道具たち
【写真左】米国内の領事館なので英語での表記はいいとして、机のふちに平行に置いていない(カメラのアングルに合わせている)のは不自然。あと、警備隊長のマグカップはデザインが素晴らしく、見ていて欲しくなった。
【写真右】共犯者かつ殺され役の免許証が説明調(”眼鏡使用”の記載)で大写しされるが、良く見ると誕生日(BIRTH DATE)が1918年1月2日(1-2-18)になっている。撮影時は1975年なのでリアルタイムだと仮定すると、この人物は57歳ということになるが、そうは見えない。まあ、どうでもいい話だが、小道具にももう少し配慮して欲しい気がするが。

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☆食べ物がいっぱい

他のエピソードで色んな料理が出てくることもあるが、今回のように多量に登場するのはなかなかないのではないだろうか。領事館の厨房にある野菜の山や敷き詰められたデザートに圧倒される。また、庭で行われたパーティ(?)には、カクテル噴水があったり(実はフルーツポンチだったが)、豪華なケーキスタンドがあったりと、アメリカって昔から飽食でパーティ好きなんだな、と思ってみたり。

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以上。

 

太田裕美☆筒美京平

筒美京平氏の訃報をきっかけにして、自分の青春時代を思い出してしまい、特に歌謡曲に絞って日記を書いているわけだが、やっぱりと言うか女性歌手のほうが圧倒的に多い。特にレコードは、いわゆる「ジャケ買い」なので、自然と偏ることになる。

天地真理(1971年)
南沙織(1971年)
アグネス・チャン(1972年)
麻丘めぐみ(1972年)
浅田美代子(1973年)
太田裕美(1974年)
岩崎宏美(1975年)

パッと思い浮かぶだけでもこのくらいは出てくる(カッコ内はデビュー曲のリリース年)。まあ、ハマり方には強弱があるので、レコードを買い求めるまで行ったのは、この中でも半分以下、太字の3人かな。予算(小遣い)の制約もあったし。

ということで、今回は太田裕美さんにスポットをあてて思い出すことにした。太田裕美(以下敬称略)の魅力はなんと言ってもその”声”である。なかなか言葉では言い表せないが、とにかく聴いてて心地よい。いわゆる「男好きする」声なのだ。

上記のサイトで言えば、
・甘えたぶりっこな声
・高めの透明感がある声
・鼻にかかったやわらかい声
・ハスキーボイスがかっこいい
と、すべて条件がそろっているのである。最後のハスキーボイスかどうかはビミョーだが、よく聴くとほんの少しハスキーな要素があるのは確か。いずれにしても、特に男性にとってはかなり魅力的な声なのだ。

 

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こんな高そうなやつではなかったが……

太田裕美の場合、アグネス・チャン岩崎宏美と異なり、もっぱらLPレコードを買っていた。理由は明確には憶えていないが、おそらくシステム・コンポを買ったせいだと思う。それまでは、シングルサイズ(直径17㎝)のレコードしか再生できないプレイヤーしか持っていなかったが、小遣いを貯めてLPレコード(直径30㎝)も再生できるコンポを買ったので、それ以降はLPばかりを買うことになったと思う。

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手元にある太田裕美LPレコードは4組5枚。それぞれ10曲以上が収録されているが、カブっていたりするので、延べの曲数は40程度だろうか。

BestHits / 太田裕美』(1976年)
Little Concert / Hiromi Ohta』(1979年)
思い出を置く 君を置く / 太田裕美 』(1980年)
THE BEST / 太田裕美  』(1981年、LP2枚組)

やはり、後からリリースされた『THE BEST』に太田裕美のすべての魅力が集約されていると思う。 LP2枚組に全30曲、レコードの場合は両面(途中で手で裏返す)になるので、下記曲目リストに”SIDE A”、”SIDE B”なる表記があるのが特徴。
(曲名のあとのカッコ内は発売日、作詞/作曲)

DISC 1
SIDE A
1.シングルガール(1979.07.21 阿木燿子/宇崎竜童)
2.青空の翳り(1979.04.21 来生えつこ濱田金吾
3.掌の夏
4.サマー・タイム・キラー
5.スカーレットの毛布
6.街の雪
7.振り向けばイエスタディ(1978.12.05 松本隆筒美京平
SIDE B
1.ドール(1978.07.01 松本隆筒美京平
2.ピッツァハウス22時
3.リボン
4.失恋魔術師(1978.03.21 松本隆吉田拓郎
5.Moon Night Selenade
6.トライアングル・ラブ
7.恋人たちの100の偽り
8.九月の雨(1977.09.01 松本隆筒美京平
DISC 2
SIDE A
1.恋愛遊戯(1977.05.31 松本隆筒美京平
2.失くした耳飾り
3.君と歩いた青春(1981.08.26 伊勢正三伊勢正三
4.恋の予感
5.最後の一葉(1976.09.21 松本隆筒美京平
6.しあわせ未満(1977.01.20 松本隆筒美京平
7.赤いハイヒール(1976.06.01 松本隆筒美京平
SIDE B
1.木綿のハンカチーフ(1975.12.21 松本隆筒美京平
2.袋小路(1975.12.5 松本隆荒井由実
3.レモンティー
4.夏の扉
5.心さわぎ
6.夕焼け(1975.08.01 松本隆筒美京平
7.たんぽぽ(1975.04.21 松本隆筒美京平
8.雨だれ(1974.11.01 松本隆筒美京平

すべて好きだが、その中でもより好きな曲にYouTubeへのリンクを貼ってみた。やはり、作詞=松本隆、作曲=筒美京平の最強コンビの歌が目立つ。

もちろん、筒美京平の曲もいいが、太田裕美の場合は、松本隆の歌詞も素晴らしい。リアルタイムで聴いていた頃には、代表的な歌詞をすべて暗記して、ノートに書いていたりもした。もう、遥か遠い日の想い出。

 

www.youtube.com

最後の一葉作詞:松本隆 作曲:筒美 京平

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以上。

アグネス・チャン

筒美京平氏の関連で昨日、日記を書いていたら、過去のことを色々と思い出してしまった。特に歌謡曲に関しては、最初にレコードを集め出したのがアグネス・チャンだったということ。Wikipediaで発売時期などを改めて確認すると、彼女の日本でのデビュー曲の『ひなげしの花』が1972年なので、もうすぐ50年になる計算だ。(2年後の2022年にデビュー50周年とかやるのかな?)

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(これら以外にもLPもあるはずだが…)

まずはせっかく調べたので、Wikipediaの「アグネス・チャン」のページから彼女の楽曲一覧をコピペすることにした。ただし、レコードを買って聴いていたのは1970年代までで、それ以降はレコード(CD)も持っていないし、ほとんど聴いていない。マイブームは1970年代で終わったのだ。

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▶マイ・ベスト・オブ・アグネス・チャン 

1位 愛の迷い子(1974年)

2位 美しい朝が来ます(1974年)

3位 小さな恋の物語(1973年)

4位 白いくつ下は似合わない(1975年)

5位 恋人たちの午後(1975年)

6位 草原の輝き(1973年)

7位 星に願いを(1974年)

8位 冬の日の帰り道(1975年)

9位 妖精の詩(1973年)

10位 心に翼をください(1977年)

次点 愛はメッセージ(1976年)……唯一のB面曲

他にもいい感じの歌があった気がするが思い出せない。

 

以上。

 

岩崎宏美☆筒美京平

作曲家の筒美京平が今からちょうど1ヶ月前、2020年10月7日に80歳で他界した。昭和の歌謡曲をけん引した第一人者といっても過言ではない。自分自身も氏の曲を、主に青春時代に数多く聞いた。その中でも最初に出会ったのは岩崎宏美さんの歌った楽曲で(※)、レコードが擦り切れるのではないかと思うほど繰り返し聴いたものだ。もちろん、今でも当時買ったそれらのレコードは大切に保管している。

 ※歌謡曲で最初にレコードを買って聞いたのはおそらくアグネスチャンだが、筒美京平氏の曲はない

ただ、いかんせんレコードプレイヤーも押入れの奥にしまってあるので、簡単には聞けないのだ。そこで、試しにAmazon Musicで探してみると、しっかりとラインアップされているではないか。すべてが筒美京平氏の作曲ではないが、それは気にしないことにする。(以下、敬称略)

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以下、スクショの関係で5曲ずつ区切って当時聴いた曲を中心に思い出しながら再確認してみたい。
(なお、以下の動画はすべてYouTubeへのリンクなので、元動画が削除される可能性がある)

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①『ロマンス』はベスト・オブ・マイベストである。筒美京平作曲の歌の中でも岩崎宏美の代表曲だと思う。この頃の歌は最後の歌詞がエンドレスになっており、フェードアウトする形になっているのが特徴だと思う。

②『聖母(マドンナ)たちのララバイ』は、某2時間ドラマのエンディングの曲を元に作られたという経緯がある。普通のケースと逆なのが興味深い。現在では岩崎宏美の代表曲のポジションのようである。(作曲:木森敏之)

③『センチメンタル』は、おそらく彼女のラインアップの中ではあまり知られていない楽曲だと思うが、これもレコードを買って繰り返し聴いている。(作曲:筒美京平

⑤『ファンタジー』はかなりマイナー調で歌詞も暗いのだが、なぜか惹かれる歌である。この歌は時間軸を持っており、作りとしては太田裕美の『木綿のハンカチーフ』と似ている。(作曲:筒美京平

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⑧『未来』もあまり有名でないかも知れない。Amazon Musicのタイトルの2つ下にあるバーグラフが人気度(=知名度?)を示しているようだが、一番少ないので実際にマイナーなんだろう。でも、レコードを買って聴いているので耳タコだ。(作曲:筒美京平

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⑪『熱帯魚』は当時聴いたことはあるが印象が薄い。やはり筒美京平は偉大なのか。(作曲:川口真)

⑬『想い出の樹の下で』もレコードを持っているが、あまり聴いていないかも知れない。(作曲:筒美京平

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⑲『シンデレラ・ハネムー』はコロッケのモノマネで有名になったようで、AmazonMusicの評価(?)もそれなりに高いようだ。(作曲:筒美京平

⑳『二重唱(デュエット)』は、1975年 4月25日にリリースされた岩崎宏美のデビュー曲である。改めて聴くと歌い方にフレッシュさが感じられる。もちろん、筒美京平の作曲である。

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今、聴き直しても、やはり岩崎宏美の歌は素晴らしい。もちろん、筒美京平の作曲があってこそだとも思う。なんだかレコード・プレイヤーを引っ張り出して、レコード盤が聴きたくなってしまった。

以上。

 

刑事コロンボ#32「忘れられたスター」

原題:Forgotten Lady(直訳:忘れられた女性)

日本語版:1976年 NHK総合

 

実はこのエピソードは、自分にとってコロンボシリーズのベスト3に入る傑作である。もちろん、憎々しい犯人をコロンボがやっつける話も痛快で面白いが、このエピソードのように、犯人をなんとか助けてあげたい、という気持ちになれる話もいいと思う。もちろん殺人自体は責められるべき行為だが、犯人の過去と現在という長い時間軸を想像すると、何か感じるものがある。これはきっと加齢とともに実感する類のものだろう。年をとるにつれて、未来より過去のほうが長く重くなっていき、そして美化されていくものだから。

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 【今回の小ネタ】
 
☆今回登場する車
 今回の犯人は自身では運転されないスターなので、運転手付きの高級車「ベントレー」。ツートンカラーは珍しいのではないだろうか。実は目立った車はこのくらいなのだが、地味にダイアモンド氏の車も窓から見えるシーンがある。車種は「スタッツブラックホーク」。同型車はエルビス・プレスリーが乗っていたことで有名な、セレブ御用達の超高級車。

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☆他殺であるという根拠の1つになった本にこだわる 

本と言えば、刑事コロンボ#13「ロンドンの傘」に登場した『不思議の国のアリス』の初版本は、本そのものは実在するがエピソード中にはそのレプリカになっていたが、今回のの本は、ご丁寧に日本語字幕も出しているが、タイトル自体が実在しない架空のものである。

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この『マクトウィグ夫人の変身』(Transformation of Mrs.Mc Twig)に関して、コロンボが立ち寄った本屋の店員が概要を説明するシーンがある。日本語版のセリフを転記するのが面倒だったので、ネットから英語のセリフを拾って翻訳してみた。

"That's a bubble of a book. You see Mrs McTwig was a floor scrubber who wins the Irish Sweepstakes.
Well, you can imagine the possibilities.
She goes to Switzerland for a face lift, then off to Paris for a Givenchy wardrobe, comprises herself in Rome with a Ribald Lothario, then falls in love with a young exiled prince from White Russia who happens to be a midget. When last seen they are frolicking together in the jungles of Africa on safari."
(Columbo)"That's quite a yarn."
"Well, you have to read it to appreciate the woody concept of romance and comedy."

立川、国立、国分寺 | 迷鴎亭 ★BAKERY FESTE★ - 楽天ブログ より抜粋引用)

上記の英文を機械翻訳(DeepL)すると下記のようになる。

 (本屋)「それは本の泡だ。マクトウィグ夫人は、懸賞に当たったアイルランドの床掃除屋さんだったんですよね。
想像してみてください。
彼女は整形のためにスイスに行き、その後ジバンシィの衣装を着てパリに行き、ローマではロサリオと一緒に過ごし、白ロシアから追放された若い王子に恋をしますが、その王子は小人でした。最後に目撃されたのは、アフリカのジャングルでサファリに出かけた二人だった。」
(コロンボ) 「それはなかなか面白い話だな」
(本屋)「ロマンスとコメディのウッディなコンセプトを理解するには読んでみなければならない。」

 さらに探っていくとこういう記述が、Twitter上で見つかった。

Based on the plot summary given to Columbo in the bookshop, this is a burlesque of Paul Gallico's very real "Mrs. 'Arris Goes to Paris," which I highly recommend. 

https://twitter.com/npetrikov/status/1272959770396418048?s=20より抜粋引用)

 これを翻訳すると、

本屋でコロンボに渡されたプロットの要約によると、これはポール・ギャリコの "Mrs. Arris Goes to Paris "のバーレスクであり、私のお勧めです。

となる。この投稿を信じるなら、今回の本の元ネタがこれだということになる。

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Mrs. Arris Goes to Paris」は1992年に映画化もされているようだが、残念ながら日本語版はない(字幕も出ない)ので、詳しい内容は分からずじまい。

youtu.be


☆今回の小道具たち

1970年代の米国の小物は毎回チェックしているが、今回は目立ったもの(個人的に興味があるもの)はなかった。島式ガスコンロとその上に乗っている調理器具、2台セットのオーブン、使用人が観ていた小型のテレビ、フィルムを切り貼りする器具(スプライサー)、そして異様に大きな灰皿。こんなところか。

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☆明らかなピンボケのシーン
当時の撮影技術というかテレビ・ドラマの撮影はかなりアバウトだったようで、よくあるのがマイク・ブームやスタッフの影がフレーム内に映り込んでしまうものだが、今回は明らかなピンボケ。奥から手前にコロンボが歩いてくるシーンだが、フォーカスの移動が速すぎて、1~2秒間、画面全体がピンボケになってしまっている。わずか1~2秒だが気になった次第。

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☆ビフォア・アフター、コロンボ大変身

コロンボの衣装は基本的には背広にヨレヨレコートだが、今回は極端な感じだった。エピソードの最初のほうでの登場シーンでは、なんとパジャマの上にいつものコートを羽織っていて、さらに髪の毛もいつも以上に寝癖が激しい。そして、それの対になるかのように、最後のシーンではタキシードをびしっときめている。蝶ネクタイも似合っていて、コロンボ、いやピーターフォークのフォーマルな格好はこうなんだろうな、と再認識した。

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☆そしてすべてはエンディングのために…

犯人は、過去の栄光に縛られ勝手気ままに生きている年配の女性。周りの男性にはそれをとめたりすることが出来ない。そして、自分の夢のために夫をも殺してしまうが、コロンボさえもその事実を掴んでも逮捕することをせず、彼女の運命を見守ることにするのだ。コロンボ・シリーズの中でも、最後に犯人を連行しないという稀有なエンディングだが、ラストの一連のシーンは涙を誘うもので、印象に残るエピソードだ。

 
以上。