原題:Dagger of the Mind(直訳:心の短剣)
日本語版:1974年 NHK総合
【今回の小ネタ】
今回のエピソードはロンドンが舞台になっている”出張捜査”である。イギリスだからというわけではないが、やたら乗り物が目立っていた(逆に、出張なのでプジョーは登場しない)。そこで、今回はその乗り物に着目してみた。なお、ネタについて、今回は時系列ではなく順不同となっている。
☆自転車が初登場!?
☆航空機も少し出てきた
今回はロンドン出張ということで、ロサンゼルスからロンドンへ飛行機によって移動するという前提で、乗っているシーンこそないが空港で荷物を受け取るシーンから始まる。その演出として主に2種類の旅客機の映像が流れるが、片方の飛行機が今はなきPanAmerican航空(俗称:パンナム)である。これは、SF映画の名作『2001年宇宙の旅』に登場するスペースシャトル(下記写真右下)でも有名で、残念ながらパンナムは2001年より10年前の1991年に経営破綻している。
ちなみに、写真右上の「BEA」も合併して、今はBritish Airwaysとなっている。航空業界も栄枯盛衰が激しいようだ。
☆イギリス製の車のオンパレード
イギリスでのエピソードということで、いろんなシーンでイギリス製の車が色々と登場する。街中のシーンもあるので数え出したらきりがないが、登場人物に関係する車だけでも様々だ。「トヨタ博物館紀要」の記事を参考にして、以下に整理してみた。
❶まず、最初に登場するのがコロンボを迎えにいった刑事部長の車「ローバー2000」。イギリスは日本と同じ、右ハンドル・左側通行なので見ていてもまったく違和感がない。しかも、この車はなんとなく昭和の日本車っぽい。
❷次は犯人(夫婦)が乗っている「モーガン4-4」である。車内は狭くて大柄の人はかなり窮屈ではないだろうか。でも、クラシカルでカッコいい。
❸そして被害者が乗っていた(であろう)「ロールスロイス」は定番だ。乗車しているシーンはないが、車庫番が磨いていたりするシーンが印象的だ。
❹あと、レアな話ではあるが”紀要”に載っていたトリビア情報として、”コロンボを乗せたローバーの前を走るMGBが前面に「L」というステッカーを付けている”のは、教習中という意味らしく、日本でいうところの「仮免中」というやつだろう。”L"はLearnerの頭文字とのこと。
❺さらに”重箱の隅”情報としては、コロンボを乗せたダーク警視正の車が、移動中に入れ替わったという話で、車種としては同じジャガーであるが、型式としてはXJ6がXJ12に変わったということで、よほどのマニアでないと気付かないと思う。
☆今回も小道具が興味深い
毎度おなじみの小道具に着目してみた。1つはいつものようにカメラで、コロンボは妙に四角張ったカメラをロンドンに持ち込んで、色々と映していた。そして、偶然近くにいた人のカメラも画面に登場したが、こちらはどうやらNikonの一眼レフのようである。
追記:
コロンボが構えている左のカメラの型番をざんぱの氏よりご教示頂いた。「Argus-C3」という米国製のカメラとのこと。無骨なデザインでコンパクトとも言えないようなこのカメラを、なぜコロンボがわざわざ旅行カバンに入れてイギリスに持ち込んだのかは不明。
あと、キーアイテムとして『不思議の国のアリス』(Alice's Adventures in Wonderland)の初版本が登場するが、どう見ても小道具だ。実際の初版本とは似ても似つかない。
☆イギリスでのエピソードではあるが!?
実際にイギリスで撮影されたのは、ロンドン市街の各ロケーション・ショットと1か所の室内シーン(コロンボが「女人禁制?」と聞いた紳士クラブ)だけで、それ以外のシーンはすべてカルフォルニアで撮影されたらしい。
以上。