ベーシックインカム
最近、特にベーシックインカムの話題を良く耳にするようになったが、基本的な最低知識は持っているつもりでも、実際、どんな仕組みなのか、その詳細は意外に知らない人が多いような気がするし、自分もその一人なので、そのメリットとデメリットを正面から語ることは出来ないな、と感じていた。
そんな時に、栗原裕一郎氏の中日新聞のコラムを読んで、この本なら興味深く読めそうだと思った。
一般的に「ベーシックインカム」なるタイトルが付いた本は実用書と言うかお堅い文章で、字が多く途中で眠たくなってやがて放棄してしまう内容だと思いがちだが、実はこの井上真偽(いのうえまぎ)の「ベーシックインカム」は、SFミステリーというジャンルで、エンターテインメント性が高いものなのだ。
SFもミステリーも好きなジャンルなので、これは読むしかないな、と思ってAmazonなどを探ってみたが、どうやらまだ単行本の形でしかリリースされておらず、基本的に文庫本しか買わない私はそこで足踏みしてしまった。でも、読みたいという欲求を消し去ることはできず、とりあえず図書館で借りることにしたのだ。
短編集の体裁をとっていて、1篇ごとに異なるテーマが存在し、近未来の話をリアルに書いており、しかもそれがミステリー風(本格ミステリーとは違う趣向)になっているという、私にとっては贅沢な作品となっていて、かなり気に入った。しかも、表題にもなっている最後の「ベーシックインカム」は、作者自身と思われる主人公がそれまでの短編4作を書いた後、5作目となるこの作品を書き始めている状況から始まるという、広い意味での作中作のようなスタイルで、導入部でニヤリとすること必至なのだ。(実際、ニヤリとしてしまった)
そのようなエンターテインメント作品を楽しむと同時に、ベーシックインカム(実はそれ以外にも各短編にそれぞれためになる内容が含まれている)の基本を押さえることが出来るので、一粒で二度おいしいと言える本で、SFやミステリーが好きな人には超オススメの本である。(文庫本が出たら買って再読するつもり)
以下、余談だが、以前から使用している「PageKeeper」という栞(しおり)もオススメ。
クリップ状の本体を裏表紙に挟み、上から飛び出している針金様のパーツを読んでいる場所に差し込むだけ。あとは、次ページに読み進む時に、”針金”から留められているページを抜いてめくるだけ、というもの。常に読んでいる場所をこのパーツが示しているので、本をいつ閉じても大丈夫なのだ。自分で栞を挟み直す必要はないので、例えば電話が鳴ってもそのまま本を閉じて即座に対応できるし、寝ながら読んでいて知らずに眠ってしまっても、本は閉じられてしまうがこの栞で読書位置は記憶されているという、秋の夜長にも活用できる便利グッズだ。Amazonで探した際に、これが1番機能的だと思って購入したが、他にももっといい製品があるかも知れない。でも、他人にもオススメ出来るレベルでこの製品に満足している。
以上。