刑事コロンボ#23「愛情の計算」
原題:Mind over mayhem(直訳:混乱に勝る精神)
日本語版:1974年 NHK総合
このたび公開された米国版ポスターは、とぼけた表情のハーレイの頭の周りを、翼の生えた主要キャラクターたちが飛び回るという奇妙なイメージ。本編の“ブッ飛んだ”テイストは、このポスターからも十分に予感できることだろう。ハーレイの首に描かれたキャッチコピーは「混乱に勝る精神(Mind over mayhem)」。これは相当のカオスが展開される予感がする…。
このエピソードでは、他と違って自家用車ではなく、犯人の勤務先(シンクタンク:CYBERMETIC RESEARCH INSTITUTE)の車(トライアンフTR6)で、ドアにその文字がペイントされていて、車としての魅力が半減している。まあ日本では、”藤原とうふ店”という字がペイントされている車は人気があるけどね。
☆コンピュータルームで喫煙するなんて
エピソードが始まっていきなり犯人がコンピュータルームでモクモクとタバコ(葉巻)を吸っているシーンが登場するが、確かにひとつの伏線ではあるけど、コンピュータルームは基本的に禁煙のはず。まあ、大道具のコンピュータだと思うので、事実上は問題ないけど。
☆ロボットのプログラムはカートリッジ式
ロボットのMM7は、初期のゲーム機と同じようにプログラム・カートリッジで動作するようだ。最初はチェス、次にキー入力、さらには犬の散歩という感じ。良く見ると、この黒いカートリッジは、昭和の日本でも流行った8トラックのテープだったりする。
8トラックのテープはエンドレス構造で、主にカラオケや車内(トラック等)で利用されていた。1本のテープに8個の録音トラックがあり、ステレオの場合は1本のテープに4曲(※)録音することが可能で、トラックの切り替えで選曲する。
※カラオケの場合。音楽ソフトの場合は4組のトラックにそれぞれ複数曲が録音されている場合が多い。
☆コンピュータ・ウォー・シミュレーション
シンクタンクでは「第3次世界大戦」のシミュレーションを行っていたが、かなりアナログだ。このエピソードのおよそ10年後に作られた「WARGAMES」という映画では、さすがにコンピュータですべて行う形に進化していた(写真下部)。
WARGAMES(ウォーゲーム)は好きな映画の一つだ。
☆犯人しか分からないのにどうして?
科学者しか分からないようなグッズをなぜ利用したのか。外部の犯行に仕立てようとしたが、墓穴を掘った格好になってしまった。犯人特定の決め手にはならなかったが、頭が良すぎるのも善し悪しといったところか。ちなみに、瓶に入っているのは 過酸化水素(Hydorogen Peroxide)、その隣のC22H25NO6はコルヒチン(colchicine)という物質、そして今回使われたC21H23NO5はヘロイン(HEROIN)で(最後の5も小さく表記すべき)である。
☆久々にコロンボの愛車がしっかり見られた
結構いい感じのアングル、そして自然な汚れ方のプジョーが見られたので、記念撮影。
コロンボの特徴的な持ち物としての手帳が今回は登場せず、なんとボイス・レコーダーを使っているのだ。アナログ(おそらくマイクロカセットテープ式)なのでランダムアクセスもできず、使いづらい上に、そもそもコロンボには似合わない。まあ、コロンボj自身も使い慣れないようで、エピソードの後半では紙にメモっていたりするし、次回以降は結局手帳に戻っているはずである。