suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

刑事コロンボ#68 「奪われた旋律」

原題:Murder with Too Many Notes(直訳:ノートが多い殺人)

日本語版:2001年 WOWOW

 

★今回のタイトルについて
Google翻訳で原題の”Murder with Too Many Notes”を日本語に訳すと何故か「奪われた旋律」と訳される。もちろんコロンボ的には正解なのだが、一般的な翻訳としてはどうみてもおかしい。翻訳エンジンも意訳や"超訳"をし始めているのだろうか?

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このような翻訳結果に違和感がある場合は、他の翻訳エンジンでも試している。2番手として常用しているのが「DEEPL」というドイツ製の翻訳エンジンである。

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DEEPLは翻訳結果に複数の候補を挙げてくれるので、その場面に合った候補を選べば違和感が解消される。逆に言えば機械翻訳結果に自信がないということかも知れないが、Googleのような決めつけがない分、使い勝手は良い。
ただ、”ノート”の意味としては今回の場合は”音符”が正解だろう。単語の翻訳(要は英和辞典)ならGoogleの方が得意のようである。その中にも2番手の候補として”音符”が出てくる。

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以上の結果から今回の”Murder with Too Many Notes”を直訳すると「音符が多すぎる殺人」となる。かなり意味深なタイトルだがこの「音符が多すぎる」というフレーズで思い出すのが、映画『アマデウス』だ。ローマ皇帝の前で指揮をとり自分が作曲した作品を披露するモーツアルトに対し皇帝が言った言葉だ。

「ちょうど必要なだけの数の音符でございます、陛下」

 ご存知の方も多いかもしれないが、このタイトルは、モーツァルトが言ったという言葉だ。映画『アマデウス』でも使われている。皇帝ヨーゼフ二世が彼のオペラに対して、「美しいが、音符が多すぎる」と感想をもらしたことに対する返答だ。

 
【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
今回目立っていた車は被害者が乗っていた「フォルクスワーゲン・ビートル・コンバーチブル」だ。昭和な昔は街中でもよく見かけたものである。今回のエピソードに登場するようなコンバーチブルタイプではなかったが。

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そのビートルが映っている不思議な場面が二つ。一つは、被害者宅前を横切る謎のエキストラ?2人。1人目は自転車をひき、後に続く人物は謎のアイテムを持って歩いている。このシーンにはどういう意味があったのだろうか。もう一つが撮影所の名前が”MONOLITH"という点。一般名詞としては”一枚岩”という意味らしいが、映画ファンなら『2001年宇宙の旅』シリーズに登場する黒い物体を思い浮かべるだろう。だからどうした、というわけでもないが。

 

☆今回は犯人が音楽関係者ということで…
…録音スタジオでのシーンが多い。特にミキサーが映っているシーンが目立ち、そこにはパソコンも置かれ、動作の指示はキーボードで行っているようだ。そして、そこに映っているモニターがSONY製。ただし、キーボードと繋がっているパソコンのモニターは別で、SONY製のモニターが何に使われているかは不明。

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☆音楽関連の機器も色々登場
冒頭シーンでいきなりフルスペックのラジカセが登場する。残念ながら型番までは特定できなかったがQuarntumFXブランドの製品で、5バンド・イコライザー、ダブルカセット、左右のVUメーター付きという、いかにもマニア受けしそう。
次に登場したのが犯人が乗っていた車に装備されているCDプレイヤーである。メーカーはPIONEERでおそらく12連装CDチェンジャーが搭載されていると思われる。
また同じく犯人の自宅にはステレオコンポがあるが、それに組み合わされているCDプレイヤーも5連装タイプだ。このCDプレイヤー絡みでの超微細ネタとしては、犯人がリモコンで再生する前は全4トラックのCD(5DISC目)が選択されていたが、それがリモコン操作によって2DISC目が再生された。そのCDには20曲以上記録されているみたいに見える。どんなCDなのかが気になった(どうでもいい話)

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あと、後半のシーンの中にキーボード(こちらは音楽用)が登場するが、そこには大きく”STUDIO 88 plus”と表記されているが、ネットで調べてみると結構人気があるようで、今でも中古が取引されているようだ。そして、このシーンではちゃんとMIDIケーブルが接続されているのである(この件は後述)。

 

☆コンピュータの登場が当たり前になるつつある
さすがに1990年代に入ると、パーソナルコンピュータが日常のあらゆるシーンに登場してくる。コロンボシリーズも例外ではなく、今回の音楽ネタでもパソコンが絡んでいる。特に犯人宅にあるパソコンはMIDI対応のキーボードと組み合わせて、楽曲の創作活動に使用されているようである。ただ、よく見るとキーボードとパソコンはMIDIケーブルで接続されておらず、単なる置物と化している。前述のシーンでは(少なくとも見かけ上は)ケーブル接続されていたので、少々残念ではある。

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なお、打ち込んだ楽譜の印刷シーンでの操作はそれなりにリアルに思えた(コントロールキーとファンクションキーを組み合わせて操作していたため)。

☆その他の小道具
楽譜、指揮棒、ストップウォッチ、貸衣装店の伝票と、これまでとは異なった小道具が用意されていたが、それら以上に目についたのが架空の映画ポスターである。元々犯人は映画音楽を担当しているようで、その関連で二つのポスターが楽屋裏に貼られているらしく、一瞬のシーンではあるが気になった次第。
▶OBSESSED・・・ジョーズのような映画
▶alibi・・・エイリアンっぽい映画
いずれも架空の作品だと思うがどんな内容かちょっと気になる!?

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☆ちょっとひとこと・・・
基本的にここではストーリーについては言及しない方針だが、時々、特に今回のエピソードのような内容にはひとこと言いたくなるのである。
あの屋上でのラストシーン。わざわざ黒板やキーボードまで用意しての謎解きシーン。なんとなく過去のエピソードを思い出してしまうのだが、そういうコロンボらしさがなかったと言う以上に、「なぜ犯人は罪を認めたのか」という疑問に尽きる。コロンボの長々とした謎解きを、犯人視点で聴いていると「だから何?」というセリフしか浮かんでこない。弱い状況証拠だらけで何の確証もないのだ。よほど犯人は捕まえて欲しかったのではないかと思うほど。実際、今回の殺人で犯人自身もかなり損失をしている。つまり、自身の作曲能力がない(低下している)ことが白日の下にさらされてしまうわけだし、実際にそういうシーンにもすでに遭遇している。殺した相手の才能によって自分の名声が維持されていることを理解していたのなら、殺さずに別の手段を講じたはずで、殺してからかなり後悔したのではないだろうか。なので、コロンボの弱い追及にも自ら罪を認めるという行為に至ったのではないか、塀の中で静かに余生を過ごしたかったのではないかと、勝手に想像するのである。

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以上。