刑事コロンボ#35「闘牛士の栄光」
原題:A Matter of Honor(直訳:名誉の問題)
日本語版:1977年 NHK総合
【今回のタイトルについて】
”Matter”という単語は最近では「BLACK LIVES MATTER」いわゆるBLM運動のニュースで頻繁に目にするようになったが、BLMの日本語訳が「黒人の命も大切」。あれ?matterに”大切”なんて意味があったっけ?と違和感を覚えた。
matter
問題、事、事柄、(原因となる)事柄、(…の)種、(漠然と)物事、事態、困ったこと、やっかいなこと、(精神界と対照して目に見える世界を構成している)物質
辞書では”問題”、”事柄”、”事態”などとなっており、確かにそう習った記憶がある。まあ、”問題として扱う”=”大切にする”という意訳なんだろうけど。
今回の犯人は2台を使い分ける”名士”で、1台目はいかにもなクラシックカーで「キャデラック Phaeton Series 452」と思われる。2台目は「フォード LTD」で、こちらは1972年のいかにもなアメ車。中盤に出てくる犯人の娘の乗っていた車は「MG TF 1250」のようで、これまたクラシカルな英国の車だ。
コロンボが格子越しに犯人の家の中を覗くシーンが2回出てくるが、なんとなく既視感があった。 1991年に発行され話題になった宮沢りえの写真集『Santa Fe』である。でも、画像検索してみたところ、かなり格子のデザインが異なることが分かった。記憶っていい加減だなぁ、と。
なお、この写真集はタイトルにもなっているアメリカ合衆国ニューメキシコ州の古都・州都サンタフェ市で撮影されたようで、今回のコロンボのエピソードのロケ地メキシコと地理的には近いので、そういう意味ではニアピンということで。
日本では考えられないが、海外の人は昼間から仕事中でもアルコール類を飲むことが多いのか、今回のエピソードでも飲酒シーンが目立っていた。メキシコと言えばテキーラというイメージだが、今回はテキーラは登場せず、最初に出てきたのがなんと「WHITE HORSE」だ。ラベルの一部が隠れているが白い馬のロゴが特徴的だ。次に出てくるシーンは銘柄不明の酒だが、その後でその中身が分かることになる。その酒を受け取った使用人は、自分の水筒にその酒を詰め替え、コロンボに飲ませるわけだが、中身は「メスカル」という酒だと言うのだ。聞いたことのない酒だがテキーラと並ぶメキシコの代表的な酒のようである。
☆闘牛はメキシコの文化なのだ!
予備知識なしで見ていると、今回のロケ地は「闘牛=スペイン」だと思ってしまうが、実はメキシコという話だ。メキシコの闘牛を調べてみると確かに文化として存在するが、このエピソードの中で犯人も名言しているが、かなり残酷のようである。
で、闘牛に使用される道具が色々と登場し、コロンボはそれらについて説明を受けるが、同時に視聴者もちょっとした雑学が得られることになる。
赤い布・・・ケープ(スペインではムレータ)
太い棒・・・ピック(写真左下)
細い棒・・・ランス(写真下中央)
☆ちょっと変わったアングルのシーン
ジュースの売店の中から店頭に立って話しているコロンボたちをカメラで捉えたシーンは、絵的に面白い。このあとコロンボたちはジュースを飲むわけだが、何のジュースかは不明。
☆メキシコの街のシーンは”観客”でいっぱい
メキシコの街中を歩くシーンは、どうやらエキストラではなくリアルな住民が映っているらしく、しっかりと”観客”になっている。また、もろにカメラを見ている男性もいたりする。日本のドラマでは考えられないシーンだ。まあ、細かいことをあまり考えないお国柄なのかも知れない。
▼映画版の第2作『スター・トレックII/カーンの逆襲』にもカーンとして復活する。原題は「Star Trek II: The Wrath of Khan」(1982年)で、13本あるスタートレックの劇場版の中では1番好きな作品だ。~と書いているうちにまた観たくなった。
「The Wrath of Khan」の予告編。