原題:Publish or perish(意訳:”出版せよ、しからずんば死を”)
日本語版:1974年 NHK総合
"Publish or perish "とは、アカデミックなキャリアで成功を収めるために、学術研究を発表しなければならないというプレッシャーを表す格言である。このような制度的な圧力は、一般的に研究大学において最も強いものである。研究者の中には、この「出版するか滅びるか」の環境が複製の危機の一因になっていると指摘する人もいます。
出版が成功すれば、研究者とそのスポンサー機関に注目が集まり、それが資金調達の継続や研究者のキャリアに貢献することになる。一般的な学術的認識では、出版頻度が低かったり、学部生への指導など出版に結びつかない活動に集中している学者は、テニュアトラックのポジションを求めて競争に敗れてしまう可能性がある。出版へのプレッシャーは、学術雑誌に投稿される論文の質の低さの原因として挙げられています。公表された論文の価値は、多くの場合、その論文が掲載された学術雑誌の名声によって決定されます。ジャーナルは、特定のジャーナルに掲載された論文の平均被引用数であるインパクトファクター(IF)で測定することができます。
こういう背景としての知識を元に、今回のエピソードを観なおしてみると、更に犯人の心理・動機への理解(?)が深まるような気がする。
なお、建物の前に設置されているオブジェは「Banker's Heart」と呼ばれているが、制作したのは日本人の流政之氏である。また、このビルは映画「タワーリング・インフェルノ」にも使われている。この映画も好きな作品の1つで、最近、ブルーレイ版に買い替えたばかり。
☆腕時計とタイプライターと錠前
犯人の腕時計は針のないデザインで、一見デジタル表示風のアナログ時計だ。使いやすいとは思えないが、その後のシーンで活躍する。途中で登場するタイプライターは電動式だ。機種等は不明。最後のほうにアップで登場する錠前だが、新しいのに取り替えたはずなのに、かなり年季が入っている。鍵屋が中古品を使って粗利を稼いだのか?
☆シリーズ中でも珍しい凝った編集と撮影
分割画面による犯行シーンは、主犯のアリバイ作りを表している。途中に時計のアップシーンも織り交ぜ、時間の経過を表現するという凝りよう。
あと、何気に使用されているテクニックが”斜め撮影”(正式用語は不明)。おそらく犯人の酔った感じを出していると思われるが、いかにも実験的だ。これを観て思い出したのが、大林監督のセルフリメイク版「転校生 さよならあなた」である。かなりのシーンが斜めだった気がするが、正確には憶えていない。オリジナルの「転校生」のほうが好きだし。
☆解像度チェック
今回、刑事コロンボを再放送する際に、NHKではデジタルマスタリング処理を施し、4K放送用に高解像度化しているらしい。残念ながら自宅には4Kチューナーも対応レコーダーもないので、通常のデジタル放送レベルの画質で録再しているが、それでも手持ちの市販DVDよりも鮮明に見える。今回、細かい字が印刷されているテープレコーダーが画面いっぱいに映し出されるシーンがあったので、画面比較することにした。
写真の上がDVD版で下がNHK版である。一見、DVDのほうが細かいく表現できているように見えるが、コントラスト等のせいで、実際の文字の識別に関しては、NHK版のほうに軍配が上がる。DVD版では目を凝らせば読めるかな~程度だが、NHK版では普通に判読が可能だ。特に右のロゴマークの下の文字はNHK版でないと読みにくい。
Solid-State
Casette Tape Recoeder / Player
With FM / AM Radio
コロンボがレストランでチリを食べた後、その料金をホール係に告げられるが、6ドルという金額に対して(高いぞ!と)驚いている。今の為替レートで考えてしまうと大した金額に感じないが、当時のドルを現在の価値に換算すると、29ドル=約3,000円になる計算らしい。そりゃ驚くよね。想像するに、普段は1ドル以下で食べていたのだろうから。