suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

ガイア理論と大陸移動説

先日、NHK BSPで昭和の名作映画『日本沈没』が放映されて、改めて観てしまったが、やはりよく出来ていたと感じて、ネタとして先週の日記を書いてしまった。その中で、登場人物の一人である東京大学の竹内均先生の話題にも触れたが、それをきっかけに過去の記憶が連鎖して、頭の中を駆け巡り、とうとう昔買って遊んでいたパソコンソフトをメルカリで購入してしまった。もちろんソフトで遊ぶつもりはないし、そもそも当該機種はとうの昔にどこかに消え去ってしまっている。狙いは、ソフトに同梱されている竹内氏監修の副読本である。

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PC-98版 シムアース 内容物一式

シムアース
NEC PC-98シリーズ用(3.5インチFD)
©1980,1981 Maxis and Will Wright 、発売元:イマジニア株式会社

私の記憶が正しければ、このPC-98版が日本で最初に登場し、その後各機種に移植されていったはずで、最終的にはファミコン系でも遊べた。でも、やはりあの名作シムシティと同様に、この手のシミュレーション・ゲームはパソコンの精密な画面で実行すべきだと思う。しかも、パッケージもPC版は素晴らしく、中には分厚いマニュアル(194ページ)に加えて、今回欲しかった、オールカラーの副読本も同梱されているのである。しかも、改めて確認すると編集制作はNewtonとなっている。あの科学雑誌であり、その内容は言わずもがなである。

「OUR PLANET 奇跡の惑星地球を解く」
監修:竹内均、編集制作:教育社 Newton、写真:NASA,PPS
フルカラー全48ページ

 シムアース自体がこの副読本でも解説されている【ガイア理論】(あるいはガイア仮説)にヒントを得たもので、そのためにこの解説書が書かれたのかも知れないし、企画進行的には逆かも知れない。ともかく、今回中身を再度読みたくて中古を衝動買いした次第である。

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前書き(一部)

日本沈没の中では、竹内氏は地球の事をゆで卵に例え、地殻を卵の殻、マントル白身、核を黄身と言っていたが、なかなか面白い表現で分かりやすかった。

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日本沈没」にも登場した地球内部のイメージ図

私はずっと「ガイア理論」として憶えていたが、下記のページでは「ガイア仮説」という表現を使っている。確かに内容的には仮説に近いと思うが、いずれにしても宇宙規模の視点を持たないと、このような発想は出てこないだろう。

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この部分が主題であろう

シムアース自体はこの「ガイア理論」に基づいて作られたとの話であるが、この副読本の中に「プレートテクトニクス」という言葉が登場する。これは、かつて「大陸移動説」と呼ばれていたもので、要は”大陸が移動して今の地形になった”という学説である。そう、この言葉「大陸移動説」も日本沈没の中で田所博士が力説しており、”日本沈没”の根拠としていたのだ。そして、そのことを私が初めて知ったのは、中学生の時だった。

小学生の頃には学研の「科学」と「学習」という月刊の雑誌が、なんと学校の校内で販売されていた。毎月の決まった日、書店かどこかのスタッフが体育館に来て、事前に記入されている予約表に従って生徒に販売するのだ。クラスのほとんどの人が買っていたが、その中で問題だったのがどっちを買うかである。基本的に「科学」=理系、「学習」=文系、というイメージと同時に、前者は男子、後者は女子にそれぞれ人気、という傾向もあった。もちろん、”お金持ちのお子様”は両方ともご購入である。貧乏人の私はもちろん「科学」のみを買っていた。(もっと貧乏の人はいずれも買っていなかったかも知れないが記憶にない)

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サイエンス・エコー(学研)1971~1972年

かなりレアな情報かも知れないが、実は「科学」の中学生版である「サイエンスエコー」が発売されていて、1年ほど購読していた。しかも、その雑誌本体(さすがに付録はないが)を今でも所蔵している。そして、ここからが本題だが、その中に「大陸移動説」が特集された号も存在するのだ(1972年3月号)。この記事が私が触れた最初のプレートテクトニクス(の元ネタ)である。日本沈没の中で田所博士も言っているが「大陸移動説という突拍子もない話は当初、誰も信じなかったが、その後の研究で、今では誰もそれを疑う人はいない」というわけで、上記の1972年当時のサイエンスエコー内では、大陸移動説はまだ疑われている状況(有力な仮説)となっている点が興味深い。その後、プレートテクトニクスとして理論化され、田所博士の言葉になったようである。

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1972年の50年前…という話だ

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学研 サイエンスエコー1972年3月号より

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学研 サイエンスエコー1972年3月号より

この雑誌内ではプレートテクトニクスという言葉は一切登場しない。あくまで仮説であり、反論も存在していたようである。(もしかしたら今でも反論はあるかも?)

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シムアースのマニュアルの表紙裏にある竹内均氏の肉筆コメント

以上。