suna8’s blog

還暦を過ぎたジジーの気まぐれ日記

刑事コロンボ#69 「虚飾のオープニング・ナイト」

原題:Columbo Likes the Nightlife(直訳:コロンボナイトライフが好き)

日本語版:2004年 STAR CHANNEL

 

★今回のタイトルについて
原題の方は意味深だが、ストーリー上はそうでもない感じで。それよりも驚いたのがオープニング。いつもと全く異なるイメージで途切れなくBGMも鳴り続ける今風な感じ。結局、この時の違和感は最後まで続くわけだが……(ストーリー自体は悪くないが) 

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【今回の小ネタ】
 

☆今回登場する車
冒頭で高級そうなメルセデスが登場するが、これは被害者が借りたレンタカーだったりする。他には犯人の共犯者が乗っている車がちょっとだけ登場するが、車種を特定するまでにはいかず。犯人自身も車に乗っているようだが、結果的には1度も登場しなかった。

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☆モバイル機器の時代背景がわかる小道具
犯人は小型で二つ折りの携帯電話を持っているが、それと同時にスタッフからの連絡用にポケベルも所持している。このいわゆる”2台持ち”は20年ほど前には流行ったスタイルだ。私の記憶が正しければ、当初はキャリヤーが異なるとメールすら送れなかったはず。なので、メッセージ交換はポケベルというスタイルだった。しかも、この時代のショートメールは送信してから相手に届くまでに数分から数時間のタイムラグがあったので(自分が使っていたキャリヤーだけだったかも知れないが)、今回のエピソードのように緊急時には使えなかったと思う。

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☆パソコンが日常の道具になってきた時代
今回もしっかりとパソコンが登場、例によって被害者を自殺と見せかけるために遺書捏造の道具として使われる。今回はキーボードにWindowsロゴもあったしマウスも2ボタンタイプなので、明らかにWindowsマシンだ。だが良く見てみるとデスクトップのアイコンがMacintosh風になっている。こういうアイコンのカスタマイズは一時期流行っていたのを思い出してしまう。

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☆普通の刑事ドラマらしく地道に犯人にたどり着くコロンボ
鑑識の兄ちゃんに「まるでドラマだね」(意訳)とツッコミされるほど、わざとらしいシーンから始まる、関係者捜しの旅。
①被害者事務所の卓上カレンダーのメモの筆跡痕から、ある場所を特定
②その場所にあったチラシを見て犯人の拠点を発見する
③犯行現場に偶然かかってきた電話の発信者の自宅に行き共犯者にたどり着く
④共犯者の離婚歴から最初の被害者の身元が分かる

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あえてツッコムとしたら、卓上カレンダーへの書き方が、最初に被害者が書いたものとその次の日の紙に出来た字の跡とが、どう見ても異なる点だ。2つのシーンが離れているので普通に見ていては気付かない、どうでもいいネタではある。

☆その他の小道具
通販や個人間取引で、今では日本でもよく目にするようになった宅配用の小型段ボール箱が、当時からアメリカで使われている点に目がいったりするのは、やはりそういう利用を普段からしているせいかも。

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 あと、被害者の車に貼り付けられていたという脅迫状が入っていた袋の文言が気になった。EVIDENCE/PROPERTY。いずれもIT業界で良く使われている単語だが、この場合の意味はなんだろうかと疑問に思い、調べてみたらどうやら警察が押収した”証拠品”ということらしい。

www.lynnwoodwa.gov

 

さらに最後に出てくる小道具、というか機器も気になった。何かしらのセンサー(超音波?)のようだが、こんなものを持ち込んで、もし発見できなかったらどうするのだろうかと心配するほど大げさなシーンであった。この機器、良く見ると我らがSONYというロゴが入っているようにも見えるが、違うかもしれない。

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☆その他いろいろ
あまり”優れた”小ネタがないので、どうしても小ネタ未満の”重箱の隅ネタ”になってしまうほど、ドラマとしては良くできていた最終回のコロンボ。逆に言えばコロンボらしさがあまり無かった感じで、ピーターフォーク自身も晩年の雰囲気。
▶ホテルのカードキー、最初に登場した時にはイミフな感じだったが、あとのシーンでようやく明示化された。最初からホテルと分かるようにして欲しかったかも。
▶”36 HOURS LATER"という表示は、コロンボシリーズでは初めてのような気がする。確かに物語の進行上は必要だっただろうけど。
▶共犯者宅で登場した柿。海外のドラマではあまり見かけない果物なので、何となく違和感。でも普通に食べられているのだろう。ただし、今回映っていた柿は”富有柿”に見えるので、この品種は日本産のはずだ。(参考→https://tsukaueigo.com/persimmon/

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そして(最初にも触れた)違和感の最大の点は声優が銀河万丈氏だったことだ。旧シリーズでの小池朝雄氏が100点としたら、新シリーズで頑張って頂いた石田太郎氏は80点、そして今回は……。もちろん上手い下手ではなく「あくまでイメージ」だ。それほど小池コロンボのイメージが完成されていたということだ。このエピソードはBlu-ray版では石田太郎氏が吹替しているバージョンもあるようだ。観てみたい気がする。

www.hmv.co.jp

 

もちろんピーターフォークの生声は声優3人とはまったく異なるので、あくまで日本語版の世界での話、ということで、逆に米国人が日本語吹き替え版を見たら「OMG‼」と叫ぶのだろうか?(叫ぶほどでもないか…)

www.youtube.com

 

最後に、ピーターフォーク氏の偉業に感謝すると共に、改めてご冥福をお祈りします。(2011年6月23日没)

 

以上。