原題:Now You See Him(直訳:今、あなたは彼を見る)
日本語版:1977年 NHK総合
【今回のタイトルについて】
最近、タイトルが妙に気になって、今回もアチラの慣用句なのかと思って調べたが、そうでもなく、単に手品師(魔術師)のセリフかと思ったもみた。だが、更にググってみるとディズニーの1972年の映画「Now You See Him, Now You Don't」(Wikipedia)にたどり着く。
コロンボの今回のエピソードが現地で放映されたのが1976年なので、そのタイトルをパクった可能性もある。確かに、このディズニーの作品は、”とある人物が透明人間の薬を作ったことによる騒動を描いたコメディ”みたいな感じで、なんとなく魔術ネタに通じる気がするが、もちろん確証はない。
さらに余談だが、上記のWikipediaのリンク先に一つにIMDbがあり、何気にクリックすると下記のような作品が表示された。
一見、同じタイトルだが、そのページを実際に見るとの作品タイトルは何と『Sora mieta zo, mienai zo!』となっている。一瞬、何だろうと思ってよく読むと「そら見えたぞ、見えないぞ!」のローマ字だった。
どういう経緯でこういう作品情報になったのか、さらに検索を続けた。すると、日本語化されていることが判明した。Yahoo!映画の評価で3.5なので、まあまあ面白い作品ということになっているようだ。と思ったら評価数は2でレビューはたったの1件という、日本では超マイナーな映画のようだ。確かにディズニーの作品なのに、今まで聞いたことがなかったし。
今回も冒頭から車が出てきたので、色々と車が登場するのかと思っていたが、結局、冒頭に画面を横切った車は無関係で、しかも犯人の車は終盤に1回、チラッとだけ出てきて終わり。車種は「ベントレー・Sタイプ」と思われる。
今回のエピソードで、コロンボが登場した瞬間、誰しもが違和感を持つ。”いつものコートじゃない!”。コートとしては上物かも知れないが、まったく似合っていない。最初からこのコートならきっと違和感は覚えなかったんだろうけど。
魔術というか奇術に関する様々な道具や奇術そのものが登場する。撮影用の小道具ではなく、おそらく当時使われていた本物。奇術自体のネタバレもあるが、これは定番ネタで許せる範囲だったのだろう。
☆手品も見せてくれるが
奇術(魔術)と手品の境目は知らないが、とにかくベーシックな手品を色々と見せてくれるので、そういう視点でも楽しく見ることが出来た。その中で、トランプの手品だけはおそらく本物のマジシャンが演じていると思われる。
犯人サンティーニを演じているジャック・キャシディもリアルに手品を演じているシーンが何度か出てくる。
スティックや鳩を出すやつとか指ぬきの芸など、結構、練習したのではないかと思う。すごい練習量という点で、「かくし芸大会」の堺正章を思い出してしまった。
☆今回は隠れキャラとは言わせない
シリーズの前半では頻繁に”隠れキャラ”的にチラッと登場していたマイク・ラリー氏が、本人役(マイケル・ラリー)で何度も登場していて、かなり目立っていた。
マイケル・ラリーの部屋にあるTVや冷蔵庫などの電化製品が、なんとも時代を感じさせるもので、つい見入ってしまった。TVに関しては、多少でも薄型に見せるモダンなデザインだが、ブラウン管なので実際には奥行きがあったりするし。
☆当時の”最新型”のタイプライターに関する考察
今ではあまり見なくなったが、往年のタイプライターや昔のプリンターでは、インクリボンが採用されていた。主に、インパクト式と熱転写式で、前者は布にインクを沁み込ませたもので、使ううちに薄くなっては行くが、何度でも繰り返し使える。後者のタイプは、透明フィルムの表面にインクを塗布したもので、1度使うと基本的には使いまわしは出来ない(ケチって再利用すると文字が欠けたりする)。今回のタイプライターは当初、熱転写だと思ったが実際にはどちらでもないようで、インクを塗布した透明フィルムにゴルフボールと呼ばれる印字ヘッドの文字が当たって、インクが紙に転写される(※)もののようである(インパクト式に分類できそうだが)。いずれにしても、今回のような使われ方で、ミステリーのネタとして定番のグッズではある。
※このタイプライターはIBM社製のSelectricという機種だが、実際には下記のシーンのように、リボンに文字が判別できるような形では残らないらしい。
犯人の舞台登場の前に前座として、犯人の娘の恋人が歌を歌うシーンが出てくるが、どこかで聴いたことのある楽曲だと思って、記憶を辿っていくうちに『シャレード』だということを思い出した。エンディングにも流れていたこの曲は、元々は映画のテーマ曲として有名だが、誕生日プレゼントとして貰ったジュリー・ロンドンのCDで聴いており印象深い。いつ聴いても名曲だと思う。
ジュリー・ロンドンは他にも素晴らしい歌声を聴かせてくれる。その代表曲が『Fly Me to the Moon』だろうか。静かな夜に聴きたい曲の1つである。