ロバート・ムーア監督の1976年公開の映画で、ジャンルの分類は難しいが、ミステリー・コメディーという感じだろうか。全体的な雰囲気はサスペンスとも言えるが、大筋はミステリー仕立てで、登場人物は古今東西の5人の探偵となっているので、探偵小説のパスティーシュという表現が1番近いかも。
観るきっかけは、刑事コロンボ役のピーター・フォークが出演していることで、でも、ストーリー上はコロンボ役ではなく、別の探偵(のパロディ)である。でも、コロンボファンには、どうしても刑事コロンボに見えてしまうので、その辺は思考を切り替えないといけないかも知れない。
億万長者トウェインから招待状を受け取った5人の探偵は、霧の立ちこめるビクトリア調の豪邸に続々と到着した。しかしホストから“時計の針が真夜中の零時を告げる時、このダイニング・ルームで誰かが殺されるだろう。この殺人事件を解いた者には世界一の名探偵の名誉が与えられる”と告げられるや、邸の出入口と窓には全てロックがされてしまった。一体犯人の目的は……? 豪華キャストで描くミステリー・コメディの快作。(Yahoo!映画より抜粋引用)
登場人物とキャスト、およびその元ネタの探偵の関係は下記の通り。
1.ミロ・ペリエ(ジェームズ・ココ)←エルキュール・ポワロ
2.シドニー・ワン(ピーター・セラーズ)←チャーリー・チャン
3.ディック(デイヴィッド・ニーヴン)&ドーラ(マギー・スミス)のチャールズトン夫婦←ニックとノラのチャールズ夫妻
4.ジェシカ・マーブルズ(エルザ・ランチェスター)←ミス・マープル
5.サム・ダイヤモンド(ピーター・フォーク)←サム・スペード
作中にいろんなセリフが飛び交うが、おそらく上記の元ネタである各探偵小説に書かれているものをパロッた感じだが、そのすべてを分かるには相当の知識が必要だと思う。まあ、全部を知らなくても自分が知っている範囲で楽しむことは可能で、名優の演技を鑑賞するだけでも、その価値はありそう。
で、元ネタの各探偵についての概要を以下にまとめてみる。作品を楽しむための基礎知識として事前に読んでおくといいかも。
1.エルキュール・ポワロ
作家アガサ・クリスティーが生み出した架空の名探偵である。ベルギー人でポワロとも表記される。「アクロイド殺し」「ABC殺人事件」「オリエント急行の殺人」などに登場。
日本ではデビッド・スーシェが演じたロンドン・ウィークエンド・テレビのテレビドラマシリーズが有名であり、このシリーズはついに原作全エピソードを映像化することに成功している。
アメリカ黄金時代の作家アール・デア・ビガーズが創造した、ハワイ・ホノルル警察に勤務する中国人探偵。
かたことの英語を話し、小太りで背は低く、眠そうな細い目をしていて、一見風采の上がらない人物のように思えますが、昔の中国の言葉をやたらと引用して容疑者を煙に巻きつつ、「東洋の英知」と呼ばれるその明晰な頭脳と慎重で忍耐強い捜査活動で徐々に、しかし確実に犯人を追い詰めていく名警部です。
3.チャールズ夫妻
ニック・チャールズとノラ(ニックの妻)が主人公の『影なき男』(原題:The Thin Man)は、1934年に製作・公開されたアメリカ合衆国の映画である。
ダシール・ハメットの小説の映画化作品であり、W・S・ヴァン・ダイクが監督、ウィリアム・パウエルとマーナ・ロイが主演した。本作の好評により、1947年に至るまで全6作のシリーズが製作されている。
4.ミス・マープル
ロンドン郊外の架空の村セント・メアリ・ミード村に住み、桜色の頬をした上品でチャーミングなマープルは、村の情報通で抜群の人間観察力と鋭い推理力を持つ老婦人。事件が起こると、自分自身の経験や、過去にあった出来事、村の噂話などから見事な推理を展開していく。普段は村の人々とお茶を飲み、編み物や大好きな庭いじりをするなど、優しく上品な雰囲気を持つが、人々の噂話や陰口の中に隠された真実を見抜く洞察力は、まさに名探偵そのもの。
5.サム・スペード
サム・スペード(Sam Spade)は、ダシール・ハメットの長編小説『マルタの鷹』と3つの短編に登場する架空の私立探偵。レイモンド・チャンドラーのフィリップ・マーロウと並んでハードボイルド派の代表にあげられる。
サンフランシスコでマイルズ・アーチャーという相棒と「スペード・アンド・アーチャー」という探偵事務所を構えていたが、『マルタの鷹』でアーチャーは殺害され、「サム・スペード」と看板を書き換えさせている。
アーチャーの妻とは不義の関係があり、そのため警察にもアーチャーの殺害容疑をかけられた。秘書のエフィ・ペリンにもしばしば焼きもちをやかれているという描写がある。
以上。